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メロスが周りの物を壊しながら走る話

作者: トミー
掲載日:2026/03/19

メロスは激怒した。

必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。


メロスには政治がわからぬ。

メロスは村の牧人である。

笛を吹き、羊と遊んで暮らしてきた。


だが、走ることだけは得意であった。

――いや、正確には走ると周囲が壊れる体質であった。


メロスは城へ向かって走り出した。


「待っていろ王!!」


ドゴォン!!


最初の一歩で村の門が吹き飛んだ。


「すまぬ!」


メロスは謝りながら走る。


ドン!ガシャーン!


市場の屋台が倒れ、果物が宙を舞う。


「メロスだ!!逃げろ!!」


住民たちは道の両側へ逃げた。


メロスはさらに速度を上げる。


ドドドドド!!


石畳が砕け、壁が削れ、犬が驚いて吠えた。


やがて城門が見えてきた。


「王よ!!覚悟しろ!!」


メロスは勢いそのまま突っ込んだ。


ドゴォォォン!!


城門は粉々になった。


城内の兵士たちは呆然とする。


「……何者だ?」


メロスは胸を張った。


「メロスだ。」


「何しに来た。」


「王を倒しに来た。」


その時、奥から王が現れた。


王は城の外を見て言った。


「……お前、来る途中で何をした?」


メロスは振り返った。


そこには


壊れた門。

倒れた屋台。

ひび割れた道。

半分崩れた城門。


王はため息をついた。


「兵士よ。」


「はっ。」


「この男を捕らえよ。」


「やはり反逆罪ですか?」


王は首を振った。


「いや。」


そして静かに言った。


「器物損壊罪である。」


メロスは叫んだ。


「ちょっと待て!!」


だがその声は虚しく、


メロスはその日、

王を倒す前に逮捕された。


――友情より先に、弁償が必要だったのである。

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