02話:解毒方法が無い
■ギルド長ヴォルガの元へ
モコモコを抱き上げたまま、私は街に駆けこむ。
どこに医者がいる?
医者と言っても名医でなければ意味がない。
私はまずギルドへと駆け込んだ。
「ヴォルガさん!」
「ムスイ、一体どうしたんだ、そんなに血相変えて」
「モコモコが毒を受けたんです。解毒魔法が効きません。どうしたらいいですか?」
「なに!?」
いきなりのことで、ヴォルガさんは困惑する。
「お前の解毒魔法が効かないのか?」
「そうなんです。街一番の名医を紹介していただけませんか」
「解毒魔法が効かないなら医者や教会では意味がない。お前が世話しているセーナ薬局しかないぞ」
「やはり、そうなりますか・・・・・」
予想はしていた。
しかし、セーナ薬局ではダメだ。あそこの薬の知識はほとんど把握している。私が面倒を見ているのだから。
しかし、私が知らない間に良い薬が開発されているかもしれない。私はセーナ薬局に向かうことにした。
「ムスイ、馬車を用意する。乗れ」
「すみません。ありがとうございます」
私はヴォルガさんが用意してくれた馬車にモコモコを乗せ、セーナ薬局へと向かった。
■セーナ薬局へ
セーナ薬局とは
ここで取り扱っている薬のほとんどは私が開発したものだ。どの薬草をどれだけ調合すればよいか、長年の研究をもとに開発している。
ここはお金儲けが目的ではない。貧しい人たちにただ同然で配っている。
「セーナ!」
「ム、ムスイさん、どうしたんですか?」
あわてて飛び込んできた私を見て、中にいたセーナが驚く。
「解毒薬を探しているんだ。何か良い薬はないかな?」
「解毒薬ですか? それでしたら・・・・・」
セーナは普通の解毒薬を出そうとする。
「違うんだ。普通のものではない」
「え?」
困惑するセーナに事情を説明する。
「そんなことが・・・・・。でも、うちで取り扱っている薬はムスイさんが開発してくれたものがほとんどです。他の薬も仕入れてはいますが、ムスイさんの解毒薬を超えるものはありません」
「やはり、そうか・・・・・」
落胆する私を見て、セーナは案を出す。
「王族や貴族が取り扱っている特別な薬があると聞きます。それならあるいは・・・・・」
「それを用意してくれ!」
「わかりました。でも、ここにはありません。明日の朝、一番で王国に向かいます。そして、入手したらアンス村に届けます」
「よろしく頼む」
そう言って、私たちは店を出て、ギルドに戻る。
馬車がないことを知って、ヴォルガさんは馬車を貸してくれることになった。私とモコモコはそのままアンス村へと向かう。
「すまない、モコモコ、こんなことになるなんて・・・・・」
「ううん、私が油断しただけだから」
モコモコは元気そうにそう言った。
村に近づくと、モコモコはこう言った。
「おじいちゃんとおばあちゃんには内緒にしておいて。心配かけたくないから」
「でも・・・・・」
「大丈夫。今はそんなに痛くないから」
そんなはずはない。
モコモコはずっと辛そうにしていた。顔も少し赤い。熱があるのかもしれない。我慢しているのは間違いない。
とはいっても、現状ではどうすることもできない。
「わかった。明日にはセーナから良い知らせが来るかもしれないし」
「うん、焦る必要はないよ」
モコモコは私に心配をかけないよう、笑顔でそう言った。
■■ムスイ、自害しタイムリープを決断する
次の日、私は直接セーナの元に行った。予想した通り、良い返事はなかった。
もう、打つ手はない。
どうせ私は18歳で死ぬ呪いがかかっている。後一ヶ月だ。死んでもタイムリープして赤ん坊に戻る。それだけの話し。
後一ヶ月、モコモコと幸せな時間を過ごしたかったが仕方がない。これ以上、モコモコを苦しませるわけにはいかない。
私は一人、森の中へと入っていく。そして、剣を抜き、自分の腹に突き刺した。
・・・・・が、突き刺さらない。何度さしても突き刺さらない。
「そんな・・・・・バカな・・・・・」
私は魔族との戦闘中、自分の体が光り輝いたことを思い出す。なぜそのようなことが起こったのか? 考えられる可能性はただ一つだった。
「まさか・・・・・本当の神になってしまったということか・・・・・!?」
だとしたら、私は死ぬことができない。タイムリープできない。・・・・・モコモコを助ける手段が無い。
全身の力が抜けた私は、地面に四つん這いとなり、絶望の中、地面を見つめ続けた・・・・・。




