3.公爵家での話し合いと提案
すぐに終わる公爵家での話し合いです 笑
テレーゼ公爵家に帰宅したアンネは、婚約解消と側妃の話を父親のトーマス・テレーゼ、母親のシナモン・テレーゼに話した。アンネの話を聞いた2人は顔をしかめる。
「巫山戯た事を抜かしてくれるな…アンネを、我が公爵家を侮辱しているとは思わぬのか!?」
「まさかヴィクトル王子にそんな一面があるとは思わなかったわ。国王陛下は王子の性格を知らなかったのかしら?」
「…恐らく、知らないのだと思います。」
ヴィクトルは王子として申し分ない佇まいと成績を修めていた。だからこんな事になるだなんて誰も想像できなかったとアンネは思う。ただ、アンネはヴィクトルに対してそれなりの愛情を持っていたがヴィクトルはそうではなかったのかもしれない。そして、初めて誰かを愛した事で抑えが利かなくなってしまった…という事なのだろうか。
だが、どんな心境の変化があったのだとしてもヴィクトルの行動は許容できるものではない。トーマスは首を振るとアンネを安心させるように話す。
「何れにしてもアンネを側妃になど絶対に認めん。すぐに陛下に手紙を出すから心配するな。当然こんな仕打ちをしてきた以上、婚約解消だけでなくヴィクトル王子とアンネが二度と婚約出来ないようにして貰おう。」
「そうね、当然だわ。陛下達が何を言ってきても、もうヴィクトル王子とアンネを近づかせたくないもの。」
「…ありがとうございます、ごめんなさい。」
両親はアンネの味方をしてくれると分かってはいた。しかしアンネの事を想ってくれる言葉はとてもうれしくて胸が温かくなる。それと同時に迷惑をかけてしまった事への申し訳なさがアンネの中で芽生えてくる。
「謝る必要などない、全てあちらが悪いのだ。」
「…ふふっ。」
トーマスの言葉に少し笑ったアンネだが、すぐに真剣な表情になった。
「お父様、陛下への手紙の内容は変えていただけませんか? それと、手紙を出すのは明日の昼過ぎにして頂きたいのです。」
「なんだと?」
アンネの言葉の意味が分からずトーマスは怪訝そうな顔をした。
「私とヴィクトル様がもう二度と婚約できないように、お父様が話をしてくれても確実に叶えられるとは限りません。それになにより…私は、どうしても今回の事が許せないのです。絶対に私がまた婚約者にされずに済む方法を考えました。公爵家に迷惑をかけないとは言い切れませんが、我儘を許しては頂けないでしょうか?」
「…どうするつもりなの?」
「それはですね…。」
アンネの提案を聞いた両親は驚いた後、面白そうな顔をした。
◆◇◆
「…お待たせしました、ヴィクトル様。リンネ嬢も。」
翌日の授業後、アンネは生徒会室に向かった。すでにヴィクトルとマリーは昨日と同じように隣同士で座っていた。
「待っていたよアンネ。」
「お待ちしておりました、テレーゼ公女様!」
にこやかな二人とは対称的に、アンネは重苦しい表情でヴィクトルの向かい側に座った。
「それじゃあ、アンネ。今後についての話をしようか。明日は学園が休みだし、父上に話そうと思う。アンネも僕と一緒に来て欲しいんだ。」
「ヴィクトル様。」
アンネが側妃になる事がもう決まっているかのように話し始めるヴィクトルの言葉を無視して、アンネはヴィクトルに問いかけた。
「ヴィクトル様は私の事を憎んでいらっしゃるのですよね?」
次回から反撃していきます。ここまで全面的に娘の味方をする公爵家の両親は現実ではありえないかもしれませんが、物語の話ですのでお見逃し下さい 笑
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