浜辺の記憶
少女は真夏の浜辺に佇んで
水平線の彼方に向かって
小さな声で囁いた。
潮騒のざわめきが聞こえた。
浦風が頬を撫でた。
岸辺の砂が波に削られ
白い砂が黒々と色を変えた。
いつの間に押し寄せる波
少女の足元を濡らす。
裸足の足先が気持ちいい。
波飛沫の雫が頬にあたる。
気持ちいい。
キラキラと遠くで輝く波の結晶
「私の彼ーー どこかしら」
遠い記憶の中
水平線に彼の顔が浮かぶ。
背後から聞こえた懐かしい声。
「お待たせ!大丈夫? 」
「私は平気よ」
女子高生は笑った。
彼は微笑んだ。
夢の中で・・・・・・。