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はじめてのものたち2

 「よし、じゃあシディ父さんは王宮で護衛の仕事があるから、そうだな六時にここ集合で

  それまで街をテキトーにプラついといてくれ。」

デアルは適当な芝生のあるところに馬をつなぐとそう言って俺に銅貨を二十枚ほど渡してきた。

「こんだけありゃ七歳には十分だろ。」

「じゃあまたなー。」と言ってより一層栄えている方へと姿を消した。

いや、そう言われても銅貨の価値もなにも分からないのだが。

まあ少なくとも銅貨より銀貨、銀貨より金貨が高価なことはわかる。

そういう点では釣り銭をちょろまかされないので銅貨で良かったのかもしれない。

まあとりあえず栄えている方に行ってみるか。遠くから見ただけでも初めて見るものばかりだ。




しばらく歩いてみたが、人種差別というものが薄いのだろうか獣人やエルフなどの通常の人間とは

少し容姿の異なる種族も当然のように見られた。これは大きな収穫だ。

せっかく異世界に来たのだから、ハーレムしたいし、エルフやケモ耳とも添い遂げたいのだ。

一夫多妻制についてはどうなんだろうな。認めてくれるのだろうか?

「痛っ。」

「あれどっか行っちゃった...どうしようレイゲルさんに...怒られちゃう。」

どうやら子供が人にぶつかってお金を落としてしまったらしい。この人混みだ人とぶつかるのも

落とした金を見失うのも仕方ない。どうせ時間はある少し付き合ってやるか。

さてさーて、どんな顔をしているのやら...

そこには特有の長い耳に綺麗な黒髪を垂らし、赤色の綺麗な宝石のような瞳を涙で潤わせた少女がいた。

うわっ、すっげーかわい...

歳は俺と同じくらいだろうか?それにしても綺麗な顔立ちだ。ロリッ子適性のない俺でも可愛いと言える。

さすがエルフ。耳から垂らされた黒い髪は首の付け根あたりまで伸びており不規則ではあるが、

むしろその不規則に揃えられた髪が独特の空気を醸し出している。

「ねぇ、君どうしたの?」

「...あ、あのっ..あの...」

俺が話しかけると戸惑ったように言葉を詰まらせて先ほどより泣きそうな顔になった。

あまり人と話し慣れていないのか?ずいぶん詰まっているな。だがまあ安心したまえ俺は女性に優しいんだ。

「僕、シデア・レント。今日初めてこの街に来たんだけど。君の名前は?」

「......わからない。」

名前がわからない?そんなことあるのか?どうも異世界の常識がわからん。

「そっか。ところでさ、僕友達も何もいなくてさ右も左も分からないんだけどなんか手伝うことない?」

「...あの...お金落としちゃって...お酒買ってこいって言われてて...急がないとだけど見つからなくて...」

「うぇ..うぇっ...」

少女はポツポツとこぼすように状況を説明すると泣き出しそうになった。

「うわぁぁ!泣かない泣かない!」

「お金ならあるけど、これで足りる?」

そう言って俺はズボンのポケットからデアルにもらった銅貨を取り出した。

「...足りる、でもいいの?」

少女は、涙目で申し訳なさそうに言った。

「いいよいいよ、どーせ何が買えるのかもわかんないし。」

「でもその代わり買い物に付き合わせて。」

「...うん分かった。」

この様子だと買った酒瓶を落として割りそうだしな。

「...ありがとう。」

さっきまで泣きそうだった少女の顔が笑顔になった。

いや、可愛すぎる。多分将来俺この子と同じ墓に入るわ。






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