生意気なクソガキ
コンコンッと扉を叩く音がした。
「シデア様朝の時間でございます。」
フュエルデルさんの声だ。
俺は顔を洗い身支度をするとドアを開けた。
「おはようございますフュエルデルさん
今日は一日よろしくお願いします。」
俺がそう挨拶すると、フュエルデルさんはそういえば
と言って胸ポケットから髪飾りを取り出した。
これは...
見覚えがあった。
「シデア様には我が校にいる間これを耳の裏に
つけていただきたく。」
「翻訳機ですね。」
「さすがでございます。我が校の技術もご存知とは。」
「え!?これってここの技術なんですか?!」
「えぇ、我が校で教師をしているものが
作った魔道具です。」
「へぇー。そうだったんですね。」
驚きだ。あんな祭りの射的屋の景品に名門大学の教師が作った魔道具が混じってるとは。
「そういえば、翻訳機が必要ってことは。
ここの生徒さんは色々な言語を使うんですか?」
「その通りでございます。我が校の生徒は各国から
貴族や才能のあるものが集まっているため、
必然的に種族も言語も多種多様になるのです。」
なるほどね。そうなると獣族なんかもいるのか。
こりゃ楽しみだ。
「ではさっそく学校案内に移らさせていただきます。」
そこから俺は何時間もかけてバカでかい校舎を
ぐるぐるとした。
時計の針が午後二時を回った頃ようやく
案内が終わった。
「では次で最後です。」
ようやく終わりか...この人施設の内容を全部説明するから一部屋一部屋が長いんだよ。
「最後に行くのは貴方様に担当していただきたい
クラスです。」
おぉ、そう言われるとさっきまでだらけきっていた
気が少し引き締まる。
「このクラスでございます。」
「なるほど。で、では失礼します。」
俺はごくりっと唾を飲んで教室の扉を開いた。
「失礼します。」
ぼふっ。
俺が教室に入った瞬間軽い音がした。
俺の頭の上に黒板消しが落ちた音だった。
「「「「「ハハハハハハッ!!」」」」
教室中が笑いに包まれる。
「なんだガキかよ!」「チビは家に帰りな!」
そんな声も聞こえてきた。
なるほどなデアルの言ってた通り、
嫌味で生意気なクソガキしかいねぇ...。