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第三十話 旅の最終目的は!

 邪神については、この世界に残されている神話から語る必要がある。


 大昔、魔族と人間の争いがあった。

 そして魔族は魔界から邪神を呼び寄せ、人間たちを襲った。


 邪神の力に人間側はなす術もなく、絶滅寸前まで追い込まれていたらしい。

 しかし人々が絶望したそのとき、天界の女神が遣わしたという光の勇者が現れた。


 光の勇者は人間たちを率いて、邪神や魔族たちと戦った。そして、あと一歩というところまで追い詰めたのだ。

 戦いによって光の勇者は命を落とすが、邪神もまた弱体化した。

 その隙をついて、天界の女神が邪神を封印したという。


 しかし女神は力を使いすぎて肉体を失い、魂のみとなった。その女神の魂が、セレナの中にいるわけだ。


 そして現在、魔族らは再び邪神を蘇らせようとしている。

 セレナを狙っているのも、女神の力が邪神復活に必要だからだ。

 その辺はセレナがいるので、上手く省略して話をした。


 ここまで語って、ハッとする。

 流されるままみんなについてきたけど、そもそもこれは魔族の目論見を阻止するための旅だったんだ。


 破滅フラグの回避にばかり頭がいって、いまいち理解できていなかった。

 いや、みんなの旅についていくと決めた時点で、なんとなく理解はしていたんだけど。


 しかし、こうして自分からみんなに話をしてみることで、初めて目的が明確になった気がする。


「むろん、セレナ。キミに協力してほしいのは、あくまでも聖水の生成だけ。その聖水でガーディアニアを救うためにな。その後の戦いに、キミを巻き込む気はない」


 オリヴィアが言葉を付け足した。

 最初から、お願いしていたのはその一点だからな。


 しかしセレナは、聖域で女神の力が覚醒するはずだ。

 戦いの場でも大活躍できるほどの力を手に入れることになる。

 そうなったとき、セレナはどういう選択をとるのか。


 そもそも俺はどうなんだ?


 無事にガーディアニアから魔族を退けたら、その後の戦いをオリヴィアたちに任せて自分は帰宅?

 勇者の剣を引き抜いたんだ。そうはいかない。


 とにかくこの旅の最終目的は、魔族の目論見を完全阻止することだ。

 そのためには魔族と渡り合えるだけの兵力が必要になる。


 魔族の手駒にされてしまっているガーディアニアを救うことが出来れば、屈強な騎士団と共闘することも可能だろう。


「でもよお。有事とあればうちの魔術協会も動くだろうけど、ただ兵を集めたって意味ねぇぜ。そもそも敵のアジトも分かんねぇじゃん」

「それについては別で考えている。ですよね、オリヴィアさん」

「ああ。まだ話せる段階じゃないがな」


 というか、俺もシャーロットも魔族のアジトがどこにあるかを知っている。

 なにせ、前世でクリアしたからな。


 だが、そのことをしゃべっていいか、マックスウェルがそれほどに信頼できる人物なのかがまだわかっていない。

 本来はモブの一人だからな。情報が足りないのだ。


「もったいぶるなぁ。まあ、さすがに出会ったばかりの俺は信用ならねぇか」


 自覚あるんだな。思ったより理解力のあるやつ。

 まあこいつのキャラ的に、たぶん取り越し苦労なんだろうけど。念のためだ、悪く思うな。


「ガーディアニアの人たちを助けるためには、国に入らないといけないんですよね。でも宿のマスターさんが、国には入れないって言ってましたよ」

「そうなんですよぉ。国境の検問所にある門は閉ざされていますし、見張りの兵士が目を光らせていますね」


 その点はシナリオどおりではあるな。

 しかし、戦争もないのに閉ざしている理由はなんだろうか。魔族の意志で、王にそうするよう命じているのかもしれない。


「ねえちゃんは国の中を見てきたんだろ? 侵入経路があるってわけか?」

「あはは。私は国境の壁を走って登ったんです。みなさんもそれができるなら、やってもらっても構わないですけどぉ」


 そんなことができるのは、リナリナくらいのものだ。確かゲームでは、ステータスの職業欄に『忍』と書かれていたっけ。


「それならリナリナさんが上からロープを垂らしてくれたら、侵入できそうですよね」

「それも案の一つとしてありだ。しかしそれだと、荷馬車をおいていかざるを得ない。国境を超えたあとも移動は続く。徒歩だと、かなり長い旅路になってしまうだろう」


 食料も手で運べる分しか持っていけなくなるし、できればしっかり許可を得たうえで荷馬車ごと国境を超えたいところだな。


「だが問題ないさ。勇者の剣があればフリーパス。そうだったよなシャーロット」

「そのはず」


 確かにシナリオ上はそうなんだけど、ここまで予定からズレた状態になっているからな。


「とにかく、国境の検問所へ行ってみよう」



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