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第十一話 転生者

「目当ての男どもが、まさかあんな連中だったとはな」


 呆れたといった感じで、オリヴィアがため息をついた。


「もしかして探してる人って、勇者たちのことだったんですか?」

「まあな。それともう一人。そこにいる聖女だ」


 オリヴィアは答えながら、セレナを指さした。

 不意に指を向けられて、彼女が困惑した様子を見せる。


 そのとき、森のほうから別の女がやってきた。


「村を包囲していた魔族連中はどうなった?」

「問題ない。すべて処理済み」


 この女がオリヴィアの腹心の部下、シャーロットで間違いない。


 彼女はオリヴィアが死んだあと、意思を引き継ぐ形で勇者パーティーに加わり、共に戦う予定のキャラだった。


 そんな彼女だが、ちょっと待て。

 ユウダイたちと同じ、電磁波みたいなものを感じるぞ。

 まさか彼女も?


 シャーロットも何かしらを感じ取ったのか、不思議そうに俺のほうへ顔を向けた。


「立ち話もなんだし。どこか落ち着いた場所はないか?」

「で、でしたら。私の家はどうでしょう。私も色々と話を聞きたいですし」


 セレナの提案で、一同は彼女の家でもある宿屋へと向かった。


 移動の途中、シャーロットが俺の隣に近づいてきた。

 しかし何か言いたそうにはしているものの、並んで歩くだけで話しかけてこない。人見知りなのかな。


「あ、あの。シャーロットさん」

「ん」


 とりあえず俺のほうから話しかけてみると、ようやく彼女の口から声が洩れた。


「もしかして、転生者ですか?」


 不意に、シャーロットが立ち止まる。


「どうかしたのか?」


 前を歩いていたオリヴィアが振り返って、シャーロットに訪ねる。

 シャーロットは何も返さず、無言のまま再び俺の隣を歩いた。


「ふふ、その男が気になるのか? キミが男に興味を示すなんて、珍しいじゃないか」


 いやいや、意味深な言い方をしないでもらいたい。シャーロットが俺に向ける興味は、全然そういうことじゃないから。

 でもまあ。転生者同志じゃなきゃ、分からないよな。


「いえ、なんでも……」


 そっけないシャーロットの返事に、オリヴィアは肩をすくめて見せる。

 しばらく歩いていると、不意に隣の彼女が指で俺の腕をつついてきた。


「のちほど……」


 それだけ言うとシャーロットは、早歩きでオリヴィアの隣へ移動した。


 のちほどって、つまり。あとで話をしようってことでいいんだよな。

 やはり転生者という言葉に、心当たりがありそうだ。


 それにしても、しゃべり方がゲームのシャーロットとそっくりだな。転生してもキャラをしっかり守っているのだとしたら、ゲームファンの鏡だ。


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