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迷宮喫茶はじめました ~退職して店を建てたら隣にダンジョンが発生したけど気にせず営業する~  作者: 結城 からく


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第39話 こんにちは、さようなら

 俺は連射銃の引き金に指をかけて待ち構える。

 視線は入口に向けたまま、琥珀色の蒸留酒を飲む。

 喉の焼けるような熱さと共に、昂揚感がにわかに上がってきた。

 きりきりと空気の張り詰める音が聞こえてくる。

 吐息と共に笑みがこぼれた。


 懐かしい、戦争の気配だ。

 この殺伐とした感じが肌に馴染む。

 傭兵に戻りたいわけじゃないが、殺し合いもやはり悪くない。

 そう思ってしまうのは、俺が既に正気を失っているからだろう。


 間もなく店の入り口に騎士が殺到してきた。

 分厚い大盾に槍を装備し、魔術による防御を前面に張っている。

 入念な対策は、とても喫茶店に入るための備えとは思えない。


 俺は嬉々として連射銃を構えて告げる。


「いらっしゃいませ、くたばれ」


 大口径の弾が高速で吐き出された。

 魔術の結界を穴だらけにして、大盾を貫通し、その奥の騎士に炸裂する。

 大量の血飛沫が舞い、肉片が四散した。

 騎士達が次々と千切れて死体となり、あっけなく崩れ落ちていく。

 彼らの断末魔は、連射銃の音に掻き消されていた。


 馬鹿げた破壊力だ。

 こいつを売っていた商人も自信ありげだったが想像以上である。

 おそらく大型の魔物をぶち殺すための武器なのだろう。

 当然ながら人間に向ける代物ではない。


 あまりの衝撃で肩が外れそうだ。

 俺は身体強化で無理やり狙いを維持し、弾丸を叩き込んでいく。

 そして、ざっと数百発は撃ち込んだところで引き金から指を離す。


 崩壊した入口付近は血みどろになっていた。

 原形を失った死体が散乱して壁も穴だらけだ。

 修繕より改築の方が早いかもしれない。


 外に繋がる箇所には何重にも結界が展開されていた。

 騎士達は一向に侵入してこようとしない。

 連射銃の出迎えにはさすがに驚いたようだ。


「遠慮せずに来いよ」


 俺は拳銃を掴み取って魔弾を放つ。

 魔弾が結界に穴を開けたのを確認し、そこに連射銃の追撃を見舞った。

 邪魔な結界が木端微塵になり、店の外で悲鳴が噴出する。


 反撃も飛んでくるが微々たるものだ。

 こちらの乱射に怯えながらの攻撃なんてたかが知れている。

 恐れる価値もなかった。


 そのうち連射銃が弾切れになった。

 たっぷり買い込んだがすぐに撃ち切ってしまった。

 役目は十分に果たしてくれたと言えよう。

 気に入ったのでまた買おうと思う。


 俺は散弾銃を持ち、予備弾をポケットに詰め込んでいく。

 その間にメルはリターナの鎖を外していた。

 今回は緊急事態だ。

 不死身の彼女は貴重な人員となる。


 俺は首を骨を鳴らしながら言う。


「挨拶は終わりだ。店に入ってくる客をもてなすぞ」

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