表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮喫茶はじめました ~退職して店を建てたら隣にダンジョンが発生したけど気にせず営業する~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/104

第23話 喫茶店とは何なのか分からなくなってきた

 店の経営は順調だ。

 売上は伸び続けており、客も途絶える気配がない。

 迷宮で死んだ奴はもう来ないが、その分だけ新規参入の冒険者が増える。

 最近では店が狭くなってきたので改築しようか考えているほどだ。

 今の儲けに満足できなくなってきたら、街の大工に依頼するつもりである。


 冒険者ギルドとの関係も良好と言えよう。

 各種消耗品を割安で融通してもらい、代わりに樹木の魔物の枝やリターナ製の薬を提供している。

 互いにサービスしているので損益で言うとあまり意味はないが、ギルドとの結び付きがあるのは悪くない。

 そんな感じで良き隣人といった関係性であった。


 噂によるとギルドマスターのアレックスは絶好調らしい。

 慢性的な疲れが吹き飛び、誰よりも元気に働いているそうだ。

 安眠剤が大活躍しているのは言うまでもない。

 あれからアレックスは店に顔を出していないが、近いうちにやってくるだろう。

 今のところ致命的な副作用は見つかっていないのが幸いである。


 元凶のリターナは次に渡す薬を既に選定し終えていた。 

 どのような効能があるかは聞いていない。

 知ったところで止める気はないからだ。

 アレックスが実験体として弄ばれる運命は確定している。

 彼には強く生きてほしいものだ。


 他に店の変化で言うと、メルを師事する冒険者が増えたことだろうか。

 彼女のナイフ捌きに惚れ込んだ連中が、戦闘術の教えを請うようになったのである。

 指導料も非常に安く、ナイフ使いはもちろん他の武器を扱う者からも好評だった。


 メルはこの店の給仕で用心棒も兼ねている。

 経歴は不明だがたぶん斥候とか暗殺の訓練を受けており、総合的な戦闘能力はずば抜けて高い。

 きっと単独でも迷宮の深部まで潜れるのではないか。

 少なくとも店内にいる客が束になっても敵わないのは確かだろう。


 その実力は冒険者達の間でも有名で、彼女に不埒な真似を働こうとする者はいない。

 馬鹿なことをした奴は肉塊になるまで切り刻まれた挙句、人食い共の腹へと直行することになる。

 だから冒険者達の間では暗黙のルールとして「店長とメルさんを怒らせない」という文言があるらしい。

 俺が同列で扱われている点だけが不満だった。


 まあ、それはどうでもいいとして。

 店内に客が少ない時間帯なんかは、メルによる指導が実施されていた。

 ナイフの持ち方から攻撃方法まで丁寧に教え込まれている。

 これで冒険者の生存率が少しでも上がるのだろうか。

 常連客が死ぬと売り上げに影響しかねないので、どうにか頑張ってほしいものである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! >喫茶店とは何なのか分からなくなってきた (哲学) [気になる点] >噂によるとギルドマスターのアレックスは絶好調らしい。 >慢性的な疲れが吹き飛び、誰よ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ