秘密兵器
「相手はアルト伯爵直属の兵士だ。貴族に鍛えられている兵士はかなり強いという認識でいい」
ユウリさんは水をコップに入れて、飲みながら語る。
「敵の数は恐らく五十から百だ」
そう言うと、少しだけカレンとリリーが不安そうな表情を浮かべる。
「数、多いですね……」
「大丈夫かな……」
それもそうだ。
こちらも兵士の数はいるが、やはり劣ってくるだろう。
「安心してくれ。私たちには秘密兵器がある」
「秘密兵器? なんだそれ」
「なんですか?」
「気になる!」
「ふふふ……気になるよな」
ユウリさんは腕を組み、くつくつと笑う。
一体何を隠しているのだろうか。
俺はずっと彼女の近くにいたけれど、特別な兵器とやらは見ていない。
「私たちには秘密兵器、ケネスがいるだろう?」
「……確かに!」
「……ですね!」
「おいおい……オッサンをからかわないでくれ」
「それほど信頼しているというわけだよ」
全く……オッサンを秘密兵器だなんて……。
少し恥ずかしいじゃないか。
「まあ、信頼してくれるのは嬉しいよ」
「ああ。信頼しているとも」
照れくさいな。
だが、期待には応えなきゃいけない。
「任せてくれ。頑張るよ」
俺はもう覚悟はできている。




