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神様がマジでいるなら整備くらいしとけよ!

「……うっわ。気持ち悪いな」


 扉を開けると、そこにはワームの姿があった。


 見た目は大方、大きなミミズだ。


 通常種でもランクはかなり高く、これも間違いなく特殊個体だろうからSくらいはあるんじゃないだろうか。


「うげっ!? 本当に気持ち悪い……」


「と、とりあえずバフを付与します!」


 神々の迷宮とは言うが、どうやら神様とやらの趣味はかなり悪いらしい。


 もっと神聖と言うか、輝かしい魔物でも配置してくれたら嬉しいんだけどな。


 まあそんな魔物なんて滅多に存在しない。


 わざわざレアな魔物を配置するより、通常種をいじって配置する方が神様とやらも楽なのだろう。


 神様も大変だな本当。



「リリー、カレン。銃撃戦は好きか?」



「え? ま、まあそりゃ銃使いだから多少は」



「私も一応魔法使いなので……」



「よし、なら戦略は同じだ。全力で撃ちまくれ」



 俺は手を掲げ、じっと相手を見据える。




「それじゃ――放て」




 合図と同時に、ワームへ向かって弾幕が飛び交う。


 戦略は同じ。


 とは言ったが、正式には違う。


「うわっ!? なんか撃ってきてた!」


「相手も口から魔法弾放ってくるから全部撃ち落とせ!」


 遠距離型と近距離型の魔物では見た目が違ったりする。


 細かな違いなので、Sランクパーティであろうと知らないことが多いが一応俺は区別することができた。



 違いは二つ。



 体型と動き方だ。



 近距離を得意とする魔物は機敏な動きをするため、体型が細かったり足腰に筋肉がかなりついていたりする。



 またこれが大きな点だが、遠距離型は動きがのろまな事が多い。



 特定の位置から確実に相手を狙い、確実に死に陥らせる行動をしてくる。



 少し曖昧な線引だが、大方俺の読みは当たることが多い。



 今回もビンゴだった。



 そして相手は土属性単体。


 相性がいいのは風である。


 カレンは察したのか、すぐに魔法弾の属性を風に切り替えていた。


 さすがだ。エドならきっと無属性の魔法弾を撃ち続けていたことだろう。



 ――ゴォォォォオオ!?



 ワームは自分が放った魔法弾が全て撃ち落とされ、困惑している様子だった。


 完璧だ。これでいい。


 さすがはSランクパーティ。夢を語るだけある。


 尚更協力しない理由がなくなった。



「止めは俺が刺す!」



 飛び交う銃弾を避けながらワームへと近づく。


 剣に手を当て、属性を付与する。


 すうと息を吸い込むと、剣に可視化された風が舞い始めた。


 属性付与完了。


 後は――




「《風神逆鱗》ッッッ!」




 地面を蹴り飛ばし、相手の頭上へと跳躍する。


 剣のグリップを両手で持ち、相手の頭上から思い切り――突き刺す。



「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 轟音とともに、ワームが斬り裂かれていく。


 勝負はいつも一瞬で決着をつける。


 それが暇人である俺のやり方。


 俺に抗うこともできずに、ワームは完全に動きが止まった。


「これで討伐完了。第二階層もクリアだな」


「さっすが! ねね、ずっと気になってたんだけど、ケネスって毎回剣に属性を付与してるわよね?」


「ああ。そうだけど」


「それって魔法も使えるってことだよね?」


「多少はな」


「それ、普通じゃないの知ってる?」


「そうなのか?」


 倒れたワームを前に、俺は首を傾げる。


 すると二人は何度も頷いた。


 あれ、これってそんなにおかしいことなのか?


 昔からこのやり方でやってきたしなぁ。


「俺は別に普通なんだけどなぁ」


「普通だと、階層主を簡単に討伐することなんてできないわよ……」


「ん? 何か言ったか?」


「なんでもないわ。あなたが化け物染みた化け物って言っただけ」


「それ、普通に悪口じゃね? それだと単純に化け物じゃん」


 少し悲しくなりながら、頭をかく。




「まあいいや。とりあえず次の階層へ――」




 瞬間、床がミシミシと音を立て始めた。


 慌てて足元を確認すると、大きなひび割れが発生している。


「やべえ……! 俺ちょっとやりすぎたかもしれねえ!」


「ちょっと待って!? 落ちるの、これ落ちるの!?」


「床抜けますよね!? 絶対抜けますよね!?」


 神々の迷宮は踏破した人間が長年いない。


 間違いなく、何かしらの欠陥が発生していたのだろう。


 神様の野郎……もしいるなら整備くらいしておけよ!


「カレン! 物理耐性のバフを頼む! とびきり強力なのを!」


「分かりました! 《物理耐性強化》!」


 俺たちは肩を取り合い、唇を噛み締める。




「落ちるぞ!」




 瞬間、体が重力に則って落下を開始した。

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