戦争
アルト伯爵領が描かれた地図を、ユウリさんは指差す。
ところどころにメモ書きがされており、そこには細かな作戦内容が書かれていた。
「アルト伯爵が雇っていた兵士は我々の味方となった。しかし、直属の兵士というものが存在する」
そう言って、ユウリさんは丸が描かれたところを叩いた。
そこには『第一拠点』と描かれている。
「第一拠点。ここはアルト伯爵直属の兵士が首都を守護するために控えている場所だ」
言いながら、メモ書きをなぞる。
「我々はここを乗り越える必要がある。しかし死者はだしてはいけない!」
腕を後ろに組み、ユウリさんは叫ぶ。
「全て気絶、みね打ちで済ませろ! そのための訓練は貴様たちに済ませているはずだ!」
「「「はっ!」」」
すごいな。
みね打ちなんて高度な技術を兵士たちには習得させているのか。
さすがはユウリさんと言える。
「先陣を切るのはケネスたちだ。頼めるか」
「もちろんですよ。任せてください」
「緊張するけど、全力で頑張るわ!」
「革命、サクッと起こしちゃいましょ!」
二人も準備万端といった様子である。
「うむ! それでは貴様たち、我々は大一拠点の陥落を目標とす! それからアルト伯爵邸の攻略だ! 覚悟はいいな!」
「「「はっ!!!」」」
ユウリさんの合図と同時に、全員が敬礼をする。
俺もこくりと頷き、息を整えた。
「それじゃあ、行こうか」
「任せてください。やりましょう」
戦争の、始まりである。




