そろそろ動こうか
エドとアナたちはユウリさんに確保され、自分たちが乗ってきた馬車に無理やり乗せられていた。
一応、責任はあるから俺も見送ることにしたのだが……最後の最後まで罵倒された。
別に今更彼らに罵倒されようがどうってことはない。
ただ、本当に彼らは彼らでどうしようもないのだなと理解した。
「本当にすまん。迷惑かけて」
「いいんだ。気にすることじゃない」
ユウリさんは苦笑しながら、俺の肩を叩く。
笑ってくれてはいるが、本当に迷惑をかけてしまった。
元仲間がまさかあそこまでするとは……。
追放される時に二度と追いかけてくるな、くらいは言っておいてよかったかもしれない。
いや、あの様子だとそれでも追いかけてきていたか。
「それに言っただろう? 私は君に、もっと迷惑をかける予定があるんだ」
「ははは……そう言ってくれると助かるな」
本当、彼女には救われてばかりだ。
感謝しないといけない。
「全く、あんなのが元パーティーメンバーだったのね」
「正直驚きました。ケネスも大変でしたね」
「そりゃな。パーティーにいた頃はかなり苦労したさ」
散々こき使われたし、良いように使われまくった。
ま、今となっては解放されたからどうでもいいんだけど。
あいつらとの因縁も終わったし、昔の思い出ってところだ。
「リリーやカレンもごめんな。関係ないのに巻き込んじゃって」
彼女たちにも迷惑をかけてしまった。
俺だけで処理しようにも、無駄にバタバタしてしまったし。
やれやれと嘆息してしまう。
「いいのよ! あたしもケネスにはお世話になってるしね。お礼よお礼!」
「そうです! 気にしないでください!」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
彼女たちには頭が上がらないな。
俺は頭をかきながら、微笑する。
「さて、と」
エドたちが乗っている馬車はもう見えなくなった。
あいつらはもう、ここにはやってこないだろう。
バタバタしてしまったが、もう終わりだ。
そうなってくると、俺たちにはやらなくちゃいけないことが発生する。
「ユウリさん。確保しているアルト伯爵の兵士のところまで連れて行ってくれないか?」
「そう言うと思っていたよ。動くんだな?」
「ああ。そろそろアルト伯爵にはお尻ぺんぺんしてやらないとな」
俺はぐっと拳を握りしめ、ニヤリと笑う。
「リリー、カレン。お仕事の時間だ」
「はーい!」
「やったりましょう!」




