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腹式呼吸って知ってるか?めっちゃ冷静になれるぞ

 ブラックバットは通常種、それほど驚異ではない。


 ランクで言えばC程度。


 一般冒険者でも倒せるような相手である。


 しかしながら、



「よっと」



 この個体はどうやら特殊らしい。


 動き、攻撃、全てにおいて通常種とは異なっている。


 ランクで言えばBランク相当と見ていいだろう。



「当たってください!!」



「穿て!」



 銃弾と魔法弾が飛び交う。


 さすがはSランクパーティ。相手に対して完全に有利を取っている。


 少し未熟な部分も見られるが、エドやアナよりよっぽど頼もしい。



「ナイス攻撃だ! 後は任せてくれ!」



 俺はすっと身構え、剣に手を当てる。


 空気を体全体に行き渡らせ、精神を研ぎ澄ませる。


 相手は複数体。


 なお、空を飛び交っている。



 剣士にとって、これほど不利な相手はいないだろう。



 が、その程度暇人の俺にとっては何のことでもない。



「斬り伏せる!!」



 俺が放った剣筋が、まるで糸のように空気を斬り裂く。


 先程まで舞っていたブラックバットは為す術もなく、地面に落下していった。


 完全に討伐が完了したのを確認した後、ふうと息を吐く。



「オッケー。これで雑魚はお片付け完了っと」



 剣を鞘に収め、何も考えずに前へ歩き始めると、隣に急ぎ足で二人が並んできた。


 なんだなんだと思いながらも、俺は特に気にすることなく進む。


「あのさ。あれって特殊個体だよ」


「そうだな。本当、神様は面倒な魔物を生成するな」


「通常個体と違って、特殊個体はほぼ神々の迷宮にしか出現しないから能力や情報は不明です」


「ああ。俺もあんま知らないわ」


「やっぱりあなた、人間? 魔族だったりする?」


「んん? 俺が魔族かだって? いや、普通の人間だけど」


 答えると、二人は首を傾げるばかり。


 あれ、なにかおかしなことでも言ったかな。


 ……!


 そうだ。


 俺とこの二人では歳の差がある。


 もしかして、おじさん臭いことでも言ってしまったか!?


 それは……恥ずかしいな。


 ええと、どうしよう。



「魔族なわけないじゃん。ほら、見てみろ。どっからどうみても人間だろ?」



 ふんす、と腕を組んで人間アピールする。


「あはは。魔族ならこんなことしないわね」


「やっぱり化け物染みた人間さんですね。魔族ならきっと、『バレたか! ククク……』なんて言いながら私たち襲われてます」


「当たり前だ。もし魔族なら今頃ズタズタになってるぞ」


 笑いながら、ダンジョン攻略を進めていく。


 こう、ダンジョンの攻略はぎくしゃくしてしまうとデメリットしか発生しない。


 俺が元いたパーティ『龍の刻印』は基本ぎくしゃくしていた。


 大抵、俺とエドたちとの差があるからだ。


 やっぱりエドとアナは恋人同士である。


 対して俺はその中に入り込んでいる一般人。


 まあ、めちゃくちゃ二人のために貢献してきたつもりだけど雰囲気は悪かった。


「そう考えてみると、今の環境は悪くないかもな」


「どうかした?」


「何かありましたか?」


「いや、なんでもない。ちょっとした独り言だよ」


 俺はただの暇人。


 彼女たちのお手伝いだ。


 全く、思考がオッサンだな。


「で、ここが第二階層の主部屋っぽいけど――」


「攻略速くない!?」


「速すぎませんか!?」


「え? そうか?」


 俺が主部屋の扉をコンコンと叩いていると、驚愕の表情を呈している二人。


 別に簡単に魔物を一掃できたんだから、速くて当然だと思うけど。


「もしかして緊張してる? それは駄目だな、深呼吸大事だぞ。腹式呼吸って知ってるか。これ、めちゃくちゃ冷静になれるぞ」


「分からない……分からないわ……」


「すごすぎて、理解が追いつきません……」


「どうした? 腹式呼吸の方法知らないか?」


 俺が尋ねると、


「知ってるわ。これは腹式呼吸する必要がありそう」


「私もします。腹式呼吸……腹式呼吸……」


「いいないいな。冷静になれよ」


 主部屋前で腹式呼吸する二人組を眺めながら、俺は扉に耳を当てる。


 足音的にかなりの巨体だろうな。


 まあ問題ないか。


 どうにかなるだろう。


「準備できたか?」


「ええ。腹式呼吸、バッチリよ」


「準備万端です」


「よし。んじゃ、扉開けるぞ」

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