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……久しぶりに話でもするか

 ユウリさんの配慮もあり、エドたちは客間に通された。


 俺はと言うと、頭をかきながら客間の扉に背中を預けている。


 この奥にエドたちがいると思うと憂鬱だ。



「ええと……彼らはケネスのお知り合いなんだよな」



 俺の隣に立つユウリさんが怪訝な表情で聞いてくる。


 俺は半ば困り果てながら、こくりと頷く。



「あんま言いたくないんだけど、元上司みたいなものだ」



「含みのある言い方だな。彼らと何かあったのか?」



「それは……まあ、追放されたんだよ。俺」



「追放……? 君をか?」



 そんな馬鹿なと言った様子で、目を丸くしている。



「あいつらがケネスを追放したお馬鹿さんだったのね。ほんと、よくもまああんなヘラヘラと来れたわね」



「ですです。今更何の用事なんですかね」



「知らん。何を考えているのかは一切分からん」



 リリーとカレンは嘆息して、腰に手を当てる。


 彼女たちにとって、彼らは初見ではあるが……あまり印象は良くないらしい。


 俺が愚痴っていたこともあるんだろうが。


 愚痴はよくないな。人の初見の印象さえ左右してしまうのだから。


 まあ……俺も少しくらいなら愚痴ってもいい権利はあると思うけど。



「ええと。優秀な君を彼らは自らの判断で追放したんだろう? なんというか、正直考えられんな」



「俺は別に優秀じゃないさ。ただ、器用貧乏なだけ」



「ただの器用貧乏が数々の神々を打ち倒すと?」



「それはリリーやカレンのおかげだ。俺は別に」



「謙遜か。でも、そんなところも嫌いではないがな」



 謙遜って思われているのか。


 言葉って難しいな。


 俺は純粋にリリーたちのおかげだって思ってるし。


 彼女たちに覚悟があったから、ここまで来られたわけだしで。



「で、どうするんだ。事情は大方分かったから、適当に追い払ってやってもいいんだぞ」



「いや、ユウリさんにこれ以上の厄介事を背負わすわけにはいかない。彼らは俺に用があるんだし、俺の知り合いだ。俺が責任持って対応するよ。逆に迷惑かけてすまない」



「別に構わないよ。これくらい迷惑には含まれない。なんなら、君にはもっと迷惑をかける予定だしな」



 俺の肩を叩きながら、くすりと笑う。


 めちゃくちゃ期待されているな。


 こりゃ、ちゃんと応えないといけない。



「私も一応聞き耳を立てているから、何かあったら間に入るぞ。君が言う通り、何か厄介事が発生しそうな気がする」



「ありがとう。その時は頼んだ」



 俺は息を整え、頭をかく。


 さて、エドたちの対応をしますか。



「あたしも行きたい!」



「私も!」



 ドアノブに触れようとした瞬間、二人が声をあげた。


 真剣な眼差しを送ってきている。


 どうやら心配されているらしい。



「大丈夫、これは俺の仕事だ。何か騒ぎにでもなったら、ユウリさんと助けに来てくれ」



 俺が制すると、二人はしょぼんとする。


 少し悪いことをしてしまった。


 でも、無闇に巻き込むのも躊躇われる。


 ここは我慢してもらわないと。


 再度、ドアノブに手をやる。


 ごくりとツバを飲み込み、捻った。



「やっと来たか」



「待っていたわ」



 ソファに腰を下ろした二人がこちらに目をやる。



「……久しぶりに話でもするか」



 全く、今更何の用だっていうんだか。

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