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【書籍化・コミカライズ】追放されたおっさん、暇つぶしに神々を超える〜神の加護を仲間の少女達に譲っていたら最強パーティが爆誕した件〜  作者: 夜分長文
六章 神々の迷宮『ケミスト』

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少し舐めていた

 家具と玩具の山の上に立つ少年は、こちらを嬉々とした表情で見下ろしている。


 少年の瞳には魔法陣が浮かび、白いローブを被っている。


 こいつが……ケミストか。


 ケミストは片手を上げ、ニヤリと笑って見せた。



『やぁ。体全体を見せるのは初めてだね。ケネスくん』



 さながら科学者のような格好をしている。


 実験実験と言っていたのにも、少し納得がいった。


 彼の能力は理解している分を上げると、『錬成』だ。


 ケミストの名の通り、ある程度の物は生み出すことができるのだろう。



「初めましてだな。やっと面を見せやがったか」



『楽しみにしていたかな?』



「ああ。お前をぶっ飛ばすのを楽しみにしていたさ」



『おやおや。できれば忘れていただきたかった発言なんだけど。覚えていたんだ』



「当たり前だろ。お前は少なくとも、ぶっ飛ばされても文句は言えねえことをしているんだ」



 まあ、どの神様もそうなんだけど。


 こいつに関して言えば俺に直接的に被害を出しやがったから、尚更許せない。



『それじゃあ勝負と行くかい? ケネスくん、そしてその他女性陣たち』



「その他って何よ!!」



「黙っていたからってその他って言い方酷いです!」



 ブチ切れるリリーたちを背に、俺はケミストに拳を向ける。



「やったろうじゃないか。顔面潰れないように歯、食いしばっとけよ!」



『どう戦うのか、楽しみだよ。ケネスくん』



 剣に手を持っていき、鞘から引き抜く。


 二人は拳銃を、杖を手に握った。



「《神域・攻撃強化》《神域・防御強化》《神域・会心強化》ッ!」



「集中……いつでも合図をしてちょうだい」



 カレンからのバフを確認した後、俺は山の上にいるケミストを見据える。


 こちらが戦闘態勢に入ったってのに、あいつは武器を持っていない。


 武器無しで戦うなんて、こっちを舐めているのか?


 しかし考えるだけ無駄だ。


 相手は神様。


 何をやってきてもおかしくはない。



「リリー。放て」



「了解!」



 リリーに合図を送ると同時に、俺は地面を蹴り飛ばす。


 自分自身に簡易的なバフ――《跳躍強化》を付与


 一気に山の頂上へと浮上する。


 頬を弾丸が掠める。


 弾丸と共に、俺は剣を思い切り叩きつけた。



『《錬成》』



「なっ……!?」



 瞬間、目の前にゴーレムが現れた。


 弾丸と剣はゴーレムによって弾かれる。


 俺はバク転をして、一度距離を取ることにした。


 家具と玩具の山から滑りながら降り、途中で止まる。


 防御用として錬成したであろうゴーレムは瓦解し、消失した。



『まあ……あのゴーレムも防御用としては使えるね』



 たっく、面倒な能力を持ってやがる。


 何の代償もなく錬成できるなんて、あまりにも都合が良すぎないか。



『それじゃあ、今度は僕の番だね』



 ケミストが手を挙げると、魔法陣が次々と空中に浮かび上がる。


 回転を始めたかと思うと、こちらに向かって剣や槍が飛んできた。



「結界魔法!!」



 カレンに向かって叫ぶと、目の前に結界が展開される。


 これである程度は防ぐことができるだろう。



「クソ……これじゃあ攻撃できないな……!」



 剣と槍の雨は止まることを知らない。


 永遠に降り注ぐんじゃないかと思ってしまうほど、勢いを弱めることなく降り注ぐ。



「カレン! 結界魔法はどれくらい展開できそうだ!」



「まだ大丈夫です……でも、このままだと状況は最悪です!」



「そうか……分かった」



 剣を構え、再度ケミストを見据える。



「カレン。俺単体に結界魔法を張ることはできるか。簡単なものでいいんだ」



「もちろんできますが……一体何をするつもりなんですか?」



 こんな状況なんだ。


 こちらから動かなければ戦況は変わることなんてないだろう。


 ならば勇気を振り絞って前進するしかない。


 若い二人には無茶をさせたくないし、ここはオッサンである俺が行くべきだ。



「少し突撃してくる。運ゲーだけどな」



「運ゲー……って。そんなの危険すぎます!」



「そうよ! あまりにも……!」



「この状況を打開するには、運に身を任せることも大切だと思うぜ。少なくとも、俺は運ゲーに何度も勝ってきた経験がある。だから信じてくれ」



 何度も運ゲーに勝ってきた経験がある。


 それは少し嘘が含まれている。


 正直、こんなチャレンジをするのは性格上好きじゃない。


 けれどもだ。


 こいつは俺が会ってきた中で気に入らない部類に入ってくる。


 一発ぶっ飛ばさないと腹が立って仕方がない。



「分かりました。それでは結界魔法を」



「ありがとう。んじゃ、行ってくる」



 結界魔法がしっかりと張られたのを確認し、俺は歯を食いしばる。


 よし、やってやる。


 カレンが展開している結界魔法から飛び出し、俺は山へと登っていく。


 降り注ぐ剣と槍を斬り倒しながら、時々結界魔法でカバーしてもらいながら。


 俺は前進して行き、そしてケミストを目の前に捉えた。



「捉えた!!」



 俺は剣を引き、そして突き立てようとする。


 しかしだ。



『第二の僕の能力』



 瞬間、体が宙に浮かび上がる。



「なっ……!?」



『《重力掌握》』



 ケミストが手を挙げると同時に、俺は壁へと吹き飛ばされた。



「ケネス!!」



「重力が……おかしくなってます……!」



 クソ……忘れていた。


 そうだった。


 こいつは……重力を操ることができる。


 だから迷宮周辺の重力がおかしくなっていたんだ。



『どうだい。苦しいだろう?』



 壁がミシミシと音を立てる。


 体中が悲鳴を上げているみたいだ。



「やべえな……最高に痛え」



 これが重力を操る魔法。


 あまりにも強すぎる。


 少し舐めていた。


 舐めすぎていた。


 全く、慢心は駄目だな。



「カレン……お前って補助魔法ならある程度の注文には応えられるよな?」



「は、はい……! ですが、こんな状況を打開する魔法なんて……!」



「あるさ。相手は重力を使ってくるんだぜ。それを利用しないわけがないだろう」



 俺はニヤリと笑い、拳を握りしめる。



「《反転》魔法を使ってみてくれ」



「《反転》……あ! 分かりました!」



『何をしようとしてるんだい? 無駄だと言うのに』



「無駄じゃねえさ。お前を一発ぶん殴る方法を思いついただけだ」

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