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【書籍化・コミカライズ】追放されたおっさん、暇つぶしに神々を超える〜神の加護を仲間の少女達に譲っていたら最強パーティが爆誕した件〜  作者: 夜分長文
六章 神々の迷宮『ケミスト』

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来いよ岩野郎!

「こりゃヤベえな……こんな巨大なゴーレム初めてみたわ」



 俺の数倍もある巨大な体躯は見ていて恐怖すら覚える。


 迷宮の通路自体細い方だったのだが、ゴーレムに合わせて大きさが変化していっていく。


 壁が波打ち、大きく広がる。


 ゴーレムに適応していく。


 ユウリさんを見てみるが、怪我はないように見える。


 一発で気絶させられた……と見るのが自然だろう。


 ケミストの言い分を信じるならば、死んではいないはずだ。


 今すぐに助けないとな……。



『もう我慢できなくてさ、こっちからゴーレムを向かわせちゃったよ。見てよこれ、僕が作り上げた芸術品を』



 どこからともなく腕が現れたかと思うと、俺の周りを飛び回り始めた。


 指を振りながら、楽しげに語る。



「お前……ふざけるのも大概にしろよ」



『ふざけるってなんだい? 僕はただ、楽しんでいるだけだよ』



 こいつ……話にならないな。


 多分、まともに話をしようとしたら時間が無意味に過ぎ去ってしまうだろう。


 相手するだけ無駄か。



「で、俺たちはこいつを倒せばいいんだな」



『そうだよ。戦って勝てば、ひとまずこの勝負はケネスくんの勝ちだ』



「お前のゴーレムがユウリさんを離さないのはどういうこった。もしかしてこの状態で戦えってのか?」



『僕も一応、君の強さを理解しているからね。こちらにもハンデが欲しいかなって』



「それでユウリさんを掴んでいると」



 体の底から大きくため息を漏らした。


 本当、つくづく。



「最低だな。お前は」



『それくらいいいじゃん。ねえ? だって君、強いんでしょ?」



「いい煽りだ。それだけは褒めてやる」



 戦場において、相手を煽るのも一種の戦術だ。


 それに乗ってしまえば、煽り側は大きく有利を取ることができる。


 この神様はそこまで考えているのか知らないが、いい選択だ。


 だけどな。



「分かった。んじゃ、俺は少しだけ本気出す」



 空気を吸い込み、唇を噛む。


 集中し、目を見開いた。


 剣を引き抜き、そして駆ける。


 ――ガシャァァァァン!!


 轟音と土煙が上がる。


 ゴーレムは悲鳴を上げることもなく、ただ愕然と失った右腕を眺めていた。



『ほほう。君、やっぱり面白いね』



 俺はユウリさんを抱きかかえ、ゴーレムから距離を取る。


 相手が卑怯な真似をするなら、俺は強行突破するのみだ。


 向こうが離さないなら、こちらが無理やり離させるのみ。



「ケネス……!? 今、何やったの!?」



「速すぎて見えなかったというか……ええ!?」



 動揺している二人。


 しかしながら、今は相手をしている暇なんてない。



「ユウリさんを頼む。気絶しているっぽいから、優しくしてやってくれ」



「え、ええ」



「分かりました」



 ユウリさんを二人に預け、俺はゴーレムを見る。


 先程斬り落とした右腕は、音を立てながら再生していた。


 まあ、これくらいじゃあ致命傷にはならないよな。



『ハンデくらい許してくれていいじゃん。それとも、その女が君にとってそれほど大切な人だったわけ?』



 俺は剣を構え直し、ケミストを睨めつける。



「俺は死ぬのがものすごく怖い。自分が死ぬのも、誰かが死ぬのも。ただ俺は、死にそうな誰かを助けただけだ」



 それに、彼女はやるべきことがある。


 こんな場所で死ぬような器じゃない。


 ユウリさんは守るべき人たちをたくさん抱えている。


 帰りを待っている人たちがいるんだ。


 俺はそれを守っただけである。



『やっぱり面白い。面白いよケネスくん。君は人間味があっていい。人間らしくて、君をたまらなく気に入ったよ』



「そんな褒め言葉はいらないさ。さあ、これでお前渾身の魔物と一対一だ。実験にしてはちょうどいい条件になったんじゃないか?」



『あはは! そうだね。僕も少し弱気になっていたよ。これじゃあ神様失格だ』



 ケミストはゴーレムに近づき、肩をぽんぽんと叩く。


 そして、ゴーレムの脳天めがけて腕を突っ込んだ。


 瞬間、眩くゴーレムが光る。



『君みたいな強い人間を相手するには、少しこいつは弱すぎる』



 ゴーレムの体が分解されていく。


 このまま消え去るようにも見えるが、違う。


 音を立てながら、ゴーレムの体が再度作り変えられていく。


 体躯は更に大きくなっていき、どんな物でも切り裂けそうな大剣を持った。


 ケミストが手を離す頃には、先程までいたゴーレムとは全くの別物。


 強大なゴーレムへと姿を変えていた。



『これくらいでいいかな。目には目を、剣には剣を。同じ条件じゃないと、実験は上手くいかないものだ』



 ケミストはゴーレムから離れ、天井にて俺たちを見下ろす。




『それじゃあ二人とも。僕をじっくり楽しませてくれ。ああそうそう、リリーさんとカレンさんは手を出さないでね。大切に、ユウリとやらを見守ってあげてくれていい。これはケネスくんと僕のゴーレムの実験なんだ』




 そう言うと、二人は心配そうに声を上げる。



「……ケネス。大丈夫なの!?」



「私たちも何か!?」



「大丈夫だ。気にすんな」



 俺はグッドサインを送る。



「ユウリさんを守ってやってくれ」



 前を向き、ゴーレムと相対する。



『それじゃあ、始めてくれて構わないよ』



「当たり前だ。来いよ岩野郎」

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