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【書籍化・コミカライズ】追放されたおっさん、暇つぶしに神々を超える〜神の加護を仲間の少女達に譲っていたら最強パーティが爆誕した件〜  作者: 夜分長文
五章 エドの失策と革命を起こそうとする暇人

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おかしな場所

「神々の迷宮付近はただでさえ危険だってのに……どうして代表は……!」



 どうやら聞いたところによると、神々の迷宮付近の地形はかなり歪になっているらしい。


 これまで挑んできた迷宮付近は、普通の森だったりした。


 だが、今回の場所は違うらしかった。



「どういう感じに危険なの?」




「ああ……なんて説明すりゃいいのか分からないが、重力がおかしくなってんだ。空中に壁があるかと思ったら、急に体が浮いて、壁だと思っていた場所が地面になる。何度も地面が逆転するんだ。それに魔物の数も多い……あんな場所、一人じゃどうにもできねえよ」




 地面が逆転する。


 あまり想像できないが、とどのつまりこの世界の重力を無視した空間になっているのだろう。


 本当に気味が悪い。


 神々の迷宮ってのは変なことが多いが、ここまでとは。



「で、迷宮ってのは一体どこに」



「街の南西、歩いているとすぐ分かると思う。重力がおかしくなった場所を抜けると、巨大な球体状の物体がある。岩石でできたボールみたいなものだ。それに触れると内部に入ることができる」



「なるほど。これまた個性的だな……」



 神様によって趣味だったり能力が違うから当然だろうが、今回ばかりはある意味すごいという一言が出てくる。


 こんだけ現実世界に干渉してくるってのは相当な実力者なのだろう。



「迷宮の名は――『ケミスト』ってんだ。お前ら……すまないが頼んだ」



「分かりました。任せてください」



「任せて!」



「私たちにお任せを!」




 ◆




「とはいえ……迷宮付近がどうなってるのか、少し警戒する必要があるな」



 俺たちは男に言われた通り、南西へ歩いていた。


 鬱蒼とした森が広がっており、かなり気味が悪い。



「警戒って言っても、正直あの情報だけじゃあ判断できないわね」



「まあな。重力がおかしくなってるって正直分からない――」



 瞬間、体が宙に浮いた。


 ぐるんと世界が反転し、いつの間にか先程まで地面だった場所が空中にあった。



「あっぶねえ……舌噛み切るところだったわ……」



「びっくりしたわ……なにこれ」



「本当に重力がおかしくなってますね」



 完全に重力を無視している。


 体の自由が効かないってわけではないが、反転する際は正直されるがままだ。



 ――ギシャァァァァ!!



「って早速だな」



 突然眼前に現れたオーガを見据える。


 どこから現れたのか、一切不明だが多分どっからか湧いてきたのだと判断する。


 ダンジョン内では突然、魔物が湧いてくることがある。


 それと似通った現象が、ここ近辺でも発生していると考えた。


 神々の迷宮なのだ。


 それくらい起こってもおかしくはない。



「穿て」



「当たってください!」



 俺が攻撃を仕掛ける前に、二人が弾丸と魔法弾を放つ。


 頬をすり抜け、オーガへと直撃した。


 腕が吹き飛ばされるが、オーガはわりと元気にしている。



「面倒な相手ね……!」



「ここは俺がやる」



 剣を引き抜き、一気に距離を詰める。


 相手の顔面付近までやってきた瞬間、俺は剣を思い切り薙ぎ払った。


 オーガの胸に斬撃を与えるが、それでは終わらない。


 こいつの耐久力は桁違いってのは既に、リリーたちの攻撃で把握済みだ。




「《連撃》」




 俺は一閃だけでは留まらず、剣の一撃一撃を加速させる。


 重く、そして速く。


 最後の一閃を繰り出す頃には、オーガは立ったまま絶命していた。


 ふう……少しオッサン疲れたわ。


 まあ、これくらいで倒れる相手で良かった。



「ケネス! 今の攻撃すごかったわね! 全く剣筋が見えなかったわよ!」



「全く見えませんでした! あれ、バフ無しですよね?」



「バフはしてないぞ。まあ、これくらいある程度の人ならできるさ」



 俺が積んできた鍛錬なんてたかがしれている。


 もっと努力している人間は無数にいるはずだからな。



「ある程度……?」



「もう慣れました。リリー、彼は少し人間を辞めてしまっているので考えるだけ無駄です」



「なあ……お前ら悪口言ってるよな? 特にカレン。お前絶対悪口言ってるよな」



「言ってません! 褒めてます!」



「褒めてる褒めてる……」



「本当かぁ?」



 まあいいか、と思い俺はひとまず前へと進んでいく。


 ここ付近は高耐久の魔物が多く出現するせいで、少し進むのに苦労してしまった。


 汗を拭いながら前進していき、やっとこさ『ケミスト』が見えてきた。



「本当に球体だな……あんなのがこの世界に存在するって考えると気持ち悪いな」



 綺麗な球体をしており、さながらボールのようだった。


 しかし、これほどまでの巨大で綺麗な球体は人間では作ることができないだろう。


 まさに神の所業といえる。



「石……で出来ているわね。この形、まるで錬金した鉱石みたい」



「錬金、錬金か。確かに錬金した鉱石とかってこんな形になったりするな」



 俺は妙に納得が言って、リリーの思考に関心する。


 そんな発想、俺にはできないな。


 凝り固まった脳では柔軟な発想はできないらしい。



「ともあれです。ユウリさんの救出を優先しましょう」



「だな。神々の迷宮は普通、攻略できないものになってる。死ぬのが当たり前って言われてるくらいだ」



「……それを攻略してきたあなたは何者なんですかって質問は邪道ですか?」



「俺はただの暇人だ。たまたまが重なって、たまたま攻略できているだけだよ」



「……この暇人、分からんわ」



「ですねぇ」



「ま、いいじゃねえか。んじゃ、行くとするか」

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