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【書籍化・コミカライズ】追放されたおっさん、暇つぶしに神々を超える〜神の加護を仲間の少女達に譲っていたら最強パーティが爆誕した件〜  作者: 夜分長文
五章 エドの失策と革命を起こそうとする暇人

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違和感

 本部の中に入ると、歴戦の戦士のような人がたくさんいた。


 俺たちのことをちらりと見て、誰もが警戒態勢を取る。



「安心してくれ。彼らは味方だ」



 ユウリさんが手で制すと、安堵したかのように椅子に座り込む。


 全員が常に緊張状態でいる……そう考えてみると過酷な環境だ。



「ここはギルドを改装した場所でな。おかげか少しは居心地がいいはずだ。ええと、それじゃあそこに座ろうか」



 ユウリさんに案内されるがまま、席に座る。


 ここは多分酒場だった場所だろう。


 丸机を囲う形になる。




「ところで、君たちはどういった目的でここに来たんだ。あまり言いたくはないが……旅人が来るような場所ではないと思うが」




 確かに旅人が来るような場所ではないだろう。


 そのため、俺たちが登場したのは彼女にとって違和感でしかないはずだ。



「俺たちは神々の迷宮を攻略するために旅をしている者です。それと――」



「アルト伯爵をぶっ飛ばしにきたの! 話を聞いて……あたし許せなくて!」



「私もです! ここ、伯爵領の現状を見て更に決意しました。私たちも革命のお手伝いをさせていただ

けないでしょうか!」



 俺が言おうとしたことを、全て彼女たちが代弁した。


 少し説明を端折りすぎているかもしれないが、大方それで間違いない。



「神々の迷宮を攻略……もしかして『希望の道』の皆さんか?」



「そうです。もしかしてご存知でしたか?」



「もちろんだ! 『エルドラ』や『クリアリー』を攻略した化け物がいると言う噂はこちらに届いてい

る」



 なるほど。噂ってのは速いものだ。


 すぐに別の領地にも情報が流れていたとは。



「そんな方たちが私たちの味方になってくれるとは! なんて頼もしいんだ!」



 ユウリさんが目を輝かせながら、俺の手を握ってくる。


 あはは……まさかここまで喜んでくれるとは。


 革命だなんてやったことがないけど、誰かを助けるって考えると悪くはないな。



「ひとまず俺たちは神々の迷宮、その攻略を考えています。人間だけでも厄介なのに、魔物からの襲撃に関しても考えないといけないのは大変だと思うので、まずはそっちを優先しようかと」



 人間と魔物。


 その両方の危険を同時に考えないといけない、そう考えるとまさに地獄である。


 被害は更に広がるだろうし、下手すれば死人が出る。




「なるほどな……」




 ……あれ?


 一瞬、ユウリさんの表情が曇ったような気がした。


 違和感を覚えたのだが、すぐにユウリさんは表情を明るくする。



「とりあえず疲れただろう。今日は少し休むのを勧める」



「いや、俺たちは大丈夫ですよ。いつもこんな感じでやっているので」



「ここまで旅をして、なんなら戦闘までしたんだ。疲れが溜まっているのは間違いないだろうし、万が一それが原因で事故を起こしたら大変だろう? なんせ、相手は神々の迷宮なんだ」



「まあ……それはそうですね」



 確かにユウリさんの言う通りである。


 俺たちは平気だと言っているが、実際疲れが溜まっているのは間違いない。


 一日とは言わず、数時間くらい休みを取ってもいいかもしれない。



「部屋なら用意しよう。着いてきてくれ」




 ◆




「休んでいいんですかね。私たち」



「押し切ってもよかったかもしれないが、下手なことはせず言われた通りにするのが一番だろう。ああ言ってくれているが、絶対信用してくれているわけでもないだろうしな」



「それはそうね。でも、不安は拭いきれないけど」



「まあな」



 俺は本部の一室にて、ベッドに寝転がっていた。


 このまま一眠りしようかとも思ったのだが、何故か眠れないでいた。


 リリーの言う通り、少し不安だったからだ。


 とはいえ、多分リリーの言っている不安と俺の不安とでは意味が違うだろう。


 俺は、ユウリさんの言動が気になっていた。


 俺たちが神々の迷宮に挑むと言ったら、少し怪しい表情をしていた。


 その怪しさが何なのか、ってのは今は分からない。


 ただ、漠然とした不安が胸に残っている。



「休めねえな、これ」



 外を見ると、もう暗くなっていた。


 ここに着いたのが夕方ごろだったから当然と言えるだろう。



「ちょっとぶらついてくる」



 ベッドから起き上がり、俺は扉の前に立つ。



「あたしも行くわ」



「私も。ここでじっとしているのもあれなので」



「分かった。んじゃ、行くか」



 ともあれ下手な行動はできない。


 本当に近場をぶらつくくらいだ。


 そう思いながら本部を歩いていると、違和感に気がついた。


 何故か、革命軍の皆が忙しないのだ。


 一人の男と目が合うと、慌てた様子でこちらに駆け寄ってきた。



「お前ら、神々の迷宮に行ってなかったのか!?」



「え……? はい。ユウリさんに休んだほうがいいと言われまして」



「嘘だろ!? 俺たちの代表はお前らと一緒に迷宮に挑んでくるって出ていったんだぞ!?」



 おいおいおい、待て待て。


 それってつまり、ユウリさんが一人で神々の迷宮に行ったってことなのか?


 一体どうして……聞いた感じ、わざと俺たちを置いて挑みに行ったようにしか思えない。



「あの、神々の迷宮ってどこにありますか。今すぐに向かいます」



「教える教える! だから代表を助けてやってくれ!」

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