階層主の討伐完了……って抱きつくな!
「この奥にいるんだな」
「ええ。この先にいるわ」
「間違いありません」
俺は巨大な扉を前にして、そんなことを聞いた。
ザ・階層主がいる部屋って感じだ。
「リリーは銃使いってのは分かるけど、カレンの職業は?」
「魔法使いです」
「オーケー。その職業と一緒に行動するのは慣れている」
んん? と首を傾げるカレンであったが今はいい。
まず第一目標はオーガの討伐だ。
「俺が扉を開けたらリリーは銃で牽制。カレンは念のため俺にバフ魔法を頼む」
「分かったわ」
「了解です」
息を整え、扉に手を当てる。
「それじゃ――頼んだ!」
思い切り扉を開き、俺は全力で部屋を走る。
同時に銃声とバフ魔法が俺に届いた。
目の前には特殊個体のオーガがいる。
通常個体は肌が緑色なのだが、こいつは紅色に染まっていた。
弾丸がオーガの体を貫き、確かにダメージを与える。
――ギシャァァァァァ!
だが、微々たるものだ。
もしこれで大ダメージを与えることができていたら、きっと攻略はもう済んでいる。
攻撃強化バフが確かに体に付与されているのを確認した後、オーガに向かって駆ける。
剣を引き抜き、地面を蹴り飛ばす。
「はぁぁぁぁぁ!!」
宙に浮かび上がり、オーガに向かって一閃。
煌めく剣先がオーガの腕を斬り落とした。
「す、すごい!!」
「一撃で……!?」
「まだ終わりじゃない! リリーは俺のことを気にせず撃ち続けてくれ! カレンも魔法弾を!」
「分かったわ!」
「了解です!!」
背後から飛んでくる銃弾と魔法弾を避けながら、オーガとの距離感を掴む。
相手が攻撃できない距離感を一定に保ちつつ、どこかで討つ。
――ギシャァァァァァ!
咆哮。
同時に、炎のブレスがこちらに向かって放たれた。
「うお!?」
地面に手をついて、バク転。
どうにかブレスを避ける。
そうだった。こいつは特殊個体だ。
属性は炎。何をしてくるか分からないのが抜け落ちていた。
「ひゅー危ない危ない。ちょっと油断した」
さすがは神々が作りし魔物だ。
特別なことをしてくる。
「でも、これで確定したな。こいつの属性は炎単体だ」
もしかしたら他の属性も持っているかもしれない。
そう危惧していたのだが、そうでもなかった。
それなら話は早い。
俺がするべきことは決まっている。
炎の弱点はなんだ。
答えは簡単である。
水だ。
「《水流斬》」
水をまといし剣を構え、俺は相手に一撃を与える。
弱点属性による攻撃は魔物にとっては致命的だ。
俺が放った一撃はオーガを斬り伏せ、見事討伐が完了した。
「これで第一階層は終わり……っと」
剣を鞘に収め、ふうと息を吐いた瞬間。
「すごすぎるわよ!!」
「やばすぎます!!」
「ちょっと!?」
勢いよく飛びついてきた二人に動揺してしまう。
ぎゅっと体を掴んでいて、どんなにやっても離してくれない。
というか、胸当たってる!
気がついてない!? 俺オッサン! セクハラになっちゃうから!
「やっぱりあなたを信じて正解だったわ!」
「やりましたね、リリー! ケネスさんは私たちの英雄ですよ!」
「英雄って……俺はそこまですごくないっつの」
困りながら、二人を無理やり引き剥がす。
「いや、英雄よ。ねえケネス。あたし、信じてるから」
ぎゅっと、腕を握られる。
リリーは全く、意思が強い娘だ。
「ああ~まあ任せてくれ。そうだ、聞きたいことがあるんだ」
ずっと引っ付かれるのも困るので、話を変えることにする。
「俺も無責任に夢を預かるわけにはいかない。もしよかったら、お前たちの夢を教えてくれないか?」
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