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【書籍化・コミカライズ】追放されたおっさん、暇つぶしに神々を超える〜神の加護を仲間の少女達に譲っていたら最強パーティが爆誕した件〜  作者: 夜分長文
四章 破滅の道を進む者と暇人

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来いよトカゲ野郎!

「嘘だろ……あのドラゴンの攻撃を剣一本で防いだ……?」



「こういう攻撃、これまで何発も喰らってますから。あと、仲間のバフのおかげですよ」



 言いながら、俺はドラゴンの爪を思い切り弾き飛ばす。


 ドラゴンは俺の攻撃に耐えきれず、大きく仰け反った。



「だから任せてください。背後に退いて、怪我をしている方の治療を」



「……分かった! ありがとう……すまなかった!」



「いいんですよ。慣れてますから」



 男が逃げていくのを確認した後、ファイガドラゴンを見据える。


 相手はとてつもなく巨大だ。


 さすがはSランクである。


 どっから湧いてきたのかは知らないが、ひとまず討伐しないとな。



「ドラゴンさんよ、相手は俺たちがしてやる。歯ぁ食いしばれよ!」



「覚悟しなさい!」



「バフを更に強化しますね! 《神域・防御強化》《神域・貫通強化》《神域・斬撃強化》」



 圧倒的に成長したカレンが、俺たちにあらゆるバフを付与する。


 体全身に走る力を握りしめ、相手を見据える。



「リリー! 俺の合図と同時にミスリル合金弾を放て!」



「了解!」



 言って、俺はドラゴンを挑発する。


 剣をくいくいと動かして、煽るだけ煽った。


 ドラゴンは基本的に賢く、自分が煽られているという事実に気がつくことが多い。


 今回のドラゴンもそうだった。


 俺のことをギラリと睨んできて、負けじと攻撃を仕掛けてくる。



「無駄だ!」



 相手の肉を斬り裂くほどの攻撃を全て剣で弾いていく。


 こっちには斬撃強化のバフが付与されていることもあり、攻撃を弾く度にドラゴンの爪が破壊されていく。


 最後には爪を斬り落とし、音を立てながら地面に落下した。



 ――グリュウウウウウウ!!



 さすがにやばいと直感したのだろう。


 ドラゴンは爪攻撃をやめ、グルルと唸り始めた。


 喉部分が赤く燃え上がり、熱波がこちらまで届く。



「ファイガドラゴン。その名前の通りの攻撃をやっとする感じか」



 炎のブレスである。



「他の皆さん! 距離を取ってください!」



「分かったわ!」



「で、でも大丈夫なのか!?」



「いいから! 俺たちのことは気にせず距離を!」



 他の人たちが距離を取ったのを確認した後、俺はニヤリと笑う。


 さて、カレンの力がどれだけの物か確かめないとな。



「来いよトカゲ野郎! 俺に思い切りブレス攻撃をしてみろ!」




 ――ギシャァァァァァ!!




 俺の声と同時に、ファイガドラゴンの口腔から炎のブレスが吐き出される。


 視界は真っ赤に染まり、何も見えなくなった。



「ケネス!?」



「大丈夫なんですか!? あっつ!!」



 背後から二人の心配そうな声が聞こえてくる。


 そら心配するわな。


 仲間が急にドラゴンのブレスを自ら浴びだしたのだから。


 まあ――俺はカレンを信用してたからやっただけだ。




「ふ、ふははは。すげえやこれ。これが『神域』か」




 ファイガドラゴンは俺の姿を見て、呆然としている様子だった。


 それもそうだ。


 ブレスを浴びて、平然と立っている人間がどこにいる。


 いや、今ここにいるんだけど。


 まだ誰も試したことがないバフの効果を自ら確かめる【暇人】がいるわけだが。



「うわ、服焦げてるじゃん。さすがに服までは限界があるか」



 少し焦げてしまった服を見ながら、俺は嘆息する。


 が、すぐにニヤリと笑ってドラゴンを睨めつけた。



「どうだトカゲ野郎。これが俺たちだ」



 ドラゴンは圧に負けたのか、一歩後退する。


 口角をひきつらせ、悔しそうにしている様子。


 だがすぐに決心がついたのか、俺に向かって攻撃を仕掛けようとしてきた。


 瞬間――



「リリー! 発射!」



「了解! 喰らえ――ミスリル合金弾丸。穿て!」



 この一瞬を狙っていた。


 確実に、そして簡単に倒すシチュエーションを。


 リリーが放った弾丸は相手の剛腕を破壊し、言葉通り完全に穿つ。


 しかしドラゴンも必死である。


 すかさず残っている腕でこちらを完全に殺りに来た。



「あまり暇人を舐めんなよ……! こっちは器用貧乏だって言われて追放された男だっつうの!」



 後ろにバク転をして回避する。


 轟音と共に土埃が上がり、視界が塞げれた。


 これじゃあ全く相手の姿が見えない。


 だが――それは相手も同じだ。


 相手は今、絶対に俺を必死で探している。


 つまり隙が生じているわけだ。


 そこを逃すわけがない。




「俺はここだぁぁぁぁぁぁ!!」




 大地を蹴り飛ばし、思い切り剣を構える。


 そして、土埃を斬り落とし、ぐっと剣を相手に向ける。



「喰らえ!! 《水裂斬》ッッ!」



 相手の属性は炎。ならばこちらは水属性だ。


 剣を薙ぎ払い、ドラゴンに致命的な斬撃を与えた。


 相手は悲鳴を上げることもなく、その場に倒れ込む。


 ふう……これで討伐は完了っと。


 鞘に収めて、息を吐いているとカレンとリリーがこちらに駆け寄ってきた。



「馬鹿じゃないの!? ブレスを直接浴びる人いる!?」



「すごく心配しましたよ! 絶対死んだと思いました!」



「あははは! あれはカレンのバフがどれだけの物か気になってだな」



「もう!!」



「……信用してくれてありがとうございます!」



 よっぽど心配していたのだろう。


 二人が抱きついてきて、俺は思わず驚いてしまう。


 あはは……やっぱりブレスを浴びるのは無茶しすぎたな。

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