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【書籍化・コミカライズ】追放されたおっさん、暇つぶしに神々を超える〜神の加護を仲間の少女達に譲っていたら最強パーティが爆誕した件〜  作者: 夜分長文
四章 破滅の道を進む者と暇人

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貴族の屋敷に招待されたんだが

「俺たちを屋敷に招待したい?」



 街に戻った後、突然リレイ男爵がそんなことを言った。



「ああ。この街から魔物が消えたのは君たちのおかげだ。復興は時間がかかるだろうけれど、それでもお礼がしたい」



「いやいや、そこまでしなくても」



「美味い料理も用意しよう。ぜひどうかな?」



「よし。それなら行きましょう」



 俺は何よりも美味い飯を食うのが好きだ。


 暇だったら何かしら無意識にご飯を口に入れているものである。


 タバコとかは吸わないけど、飯は食ってしまう。


 というか、タバコを吸うより何倍も健康的な暇つぶしである。



「お前らも行くよな?」



「美味しいご飯食べたい!」



「私もです! 最近まともにご飯食べていなかったですから!」



「より決まりだな! それじゃあリレイ男爵、お願いします!」



「任せてくれ。僕が案内してもいいんだが、その様子だとここまで運んでくれた御者さんがいるんじゃないか?」



「はい。それじゃあ現地集合ってことでいいですか」



「構わない。僕は先に行ってるから。待ってるよ!」



「お願いします!」



 言いながら、リレイ男爵が去っていく後ろ姿を見送る。


 いやー本当にいい人だな。


 何より美味い飯を食わせてくれるってだけでいい人案件だ。


 こう考えてみると、俺は餌付けに弱いのかもしれない。


 餌付けされてしまったらころっと寝返るかもしれないな。


 さすがに無いけど。



「よし。それじゃ御者さんにも報告しに行くか」



「ええ!」



「はい!」



 ◆



「お主ら、戻ってきたのか! 状況から分かってはおるが一応聞こう。攻略はどうじゃった!」



「もちろん成功しましたよ。しっかりぶっ飛ばしてきました」



「お見事じゃ! 恐れ入った! やはりお主らの実力は本物じゃな!」



 ガハハと笑いながら、満足げに馬車の上でテンションが上がっている様子である。



「ワシは誇りじゃ。未来の英雄を運んでいると思うと、胸のドキドキが止まらない」



「ありがたいけど大丈夫ですか? ドキドキしすぎて倒れたりしません?」



「面白いジョークを言うな! ワシはまだまだ若いから大丈夫じゃ!」



 ブンブンと腕を振り回しながら御者はピンピンしている。


 うん、この様子だと本当に大丈夫そうだな。


 マジでドキドキしすぎて倒れられたらビビるからな。



「それでなんですが、リレイ男爵の屋敷に向かいたいんです。案内ってしてもらえますか?}



「なんじゃ、リレイ男爵に何かしたのか?」



「いや、リレイ男爵からお礼がしたいと屋敷に誘われまして」



 言うと、御者は目を見開いて驚く。



「な、なんと! 貴族からお呼ばれするとは……出世したな!」



「ははは……本当ありがたい限りで」



「任せておれ! ワシが案内しよう! 乗り込むのじゃ!」



 よし、許可は貰えたな。


 本当に御者さんにはお世話になりっぱなしだ。


 感謝してもしきれない。


 俺たちは馬車に乗り込み、背もたれに体重を預ける。


 やっぱり迷宮の攻略後は体力の消耗が激しいな。



「全速力じゃ!」



 馬車が動き出し、頬を風が掠める。



「それにしても貴族様に呼ばれるなんて……少し緊張しますね」



「やっぱりお前らも貴族の家に呼ばれるなんて初めてか?」



「ええ。依頼を引き受けることはあったけど、呼ばれるなんてことは一度もなかったわ」



「俺もだ。依頼は受けた経験、何度もあるけど家に招かれるのは初めてだな」



 外の景色を眺めながら思い出す。


 本当、『龍の刻印』にいたころは苦労したなぁ。



「あの、前々から気になっていたのですがケネスさんってどこか別のパーティに在籍していたんですか?」



「あれ? 言ってなかったけ?」



「聞いてないわ」



 そうだったか。


 全く気にしていなかったらな。



「参加してたぞ。一応Sランクパーティに」



「嘘ぉ!? え、でもじゃあなんで今は一人でウロウロしていたの?」



「そりゃ追放されたからだ」



「ええ!? ケネスを追放するパーティって一体どんな頭してるんですか!?」



「そうそう!」



 どんな頭って……カレン、お前そこまで毒舌だったか?


 まあ確かにあいつらには不満はあるが。



「向こうはどうやら俺がいなくても大丈夫らしいぞ。愛の力とやらで乗り越えるらしい」



「愛の力って……なにそれ笑えるんだけど」



「ぷふふ……すみません。ちょっとおかしくて」



「超笑えるだろ。俺も何かのジョークかと思ったわ」



 今でも思い出すだけで笑える。


 あいつらは今元気にしてっかな。


 俺が何もかもやってた依頼の整理とか調整、全く引き継いでなかったけどトラブってないかな。


 てか、引き継ぐ猶予なんて与えられてなかったし。


 まあ愛の力とやらで乗り越えているのだろう。


 知らんが。



「世の中馬鹿もいるものねぇ」



「ですね」



「ははは。まあ彼らにとっての正解がそれだったんじゃね」



 ほんと、あいつら今どうなってんだろうな。

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