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文字列とか面倒くさいから斬り落とそうか

「すまないが、ワシが運べるのはここまでじゃ……ここから先は恐ろしくて進むことができん」


「大丈夫ですよ。逆にすみません、無理を言ってこんな危険な場所まで乗せてもらって」


 例外はあるが、神々の迷宮がある場所は基本的に領地の辺境だったりする。


 少なくとも今回の迷宮は辺境。


 迷宮近くの村に止まってはいるが、ここの村はかなり酷い。


 魔物の影響もあるのか、人々はボロボロで気力がなさそうだ。


 それもそうで、ここ近辺に出現する魔物はBランク相当だと聞いている。


 一般人が住むにはあまりにも危険だ。


 しかし、ここに住むしか選択肢がない人々がここにいる。


 多分、ここに住んでいる人は迷宮が攻略されない限り不幸な生活が続いてしまうだろう。


 神々が作った迷宮だってのに、人間に不幸を呼び寄せるなんて笑えない話だ。


「それじゃ俺はここで降ります。帰りは……待っててくれたりするんですか?」


「帰りを待つのは御者の務めだ」


「了解しました。まあ、三日くらいしても帰ってこなかったら死んだと思ってください。俺のことは気にしなくてもいいので」


 そう言って、馬車から飛び降りると御者さんが声をかけてきた。


「聞いてもいいか? お主はどうして神々の迷宮なんぞに挑む。確かに攻略することができれば……が、危険が……」


「理由ですか。そうですね、暇だからですかね?」


「ひ、暇!? 本気で言っておるのか!?」


「それ以外に理由がないしなぁ……」


 これ以上の物を要求されると、適当に言葉を用意するしかなくなる。


 苦しんでいる人々を救うため……だとか?


「全く、分からないものじゃ。よいよい。それでは行って来い。帰ってきてくれよ。死なれたら心が持たないからな」


「分かってますよ。ありがとうございます」


 そう言って、俺は地面を蹴り飛ばす。


 迷宮まで全力ダッシュだ。


 俺が現在目指している神々の迷宮は『エルドラ』と呼ばれている。


 命名は大抵、昔からの言い伝えだ。


 誰かの趣味だろう。しらんけど。


『ギシャァァァァァ!!』


 木陰から飛び出してきたオークが俺の前に立ちはだかる。


 ランクにしてBだろう。


 それくらいの実力は感じ取れる。


「よっと」


 俺は剣を薙ぎ払い、相手の体を真っ二つに斬り倒す。


 一瞬の出来事だ。


 オークも状況が理解できなかったのか、呆然としていた。


「やっぱり魔物が多いな。さすがは神々の迷宮付近だ」



 何体、魔物を斬り倒してきただろうか。


 分からなくなった頃合いに、俺は神々の迷宮『エルドラ』に到着した。


 巨大な洞窟が目の前にある。


 中からは異様な雰囲気が漂っていた。


「これは……すごい圧だな。初めて挑むが、久しぶりに緊張してきた」


 頭をかきながら、洞窟に一歩踏み入れた瞬間のことだ。


 ――――――――――――――――

 神々の迷宮『エルドラ』へようこそ

 

 我々、神に挑みし勇気ある人間よ

 ――――――――――――――――


 目の前にこんな文字列が浮かび上がった。


 なんだこれ。すげえな。こんな出迎え方をしてくれるのか。


 ―――――――――――――――――

 しかしながら神々の迷宮は危険です


 すぐに引き返すことを――

 ―――――――――――――――――


 とりあえず面倒くさそうなので斬り落とした。


 文字列は簡単に霧散した。


「よし。待ってろよ『エルドラ』」


 早速剣を握り、中へと侵入する。


 トラップがいくつも仕掛けられているが、大抵斬り倒してどうにかした。


 力こそパワーである。


 しかしながら魔物の気配がこの階層は少ない。


 まるで誰かに荒らされた後のようにも思える。


「あ、そういえば何か言ってたな」


 ギルドで神々の迷宮に挑んだ人間がいると聞いていた。

 

 もしかすると、その人たちが荒した後なのかもしれない。


 ……でも帰ってきてないって聞いてるしな。


「もしかしてこの階層、最奥でなにかあったのか?」


 ダンジョンは基本、階層ごとに分かれている。


 特に難易度の高いダンジョンは何階層もあったりする。


 階層ごとにボスがいることもあるし、もしかしたらそこで足止めを喰らっているのかもしれない。


 ひとまず奥へ……


「誰ですか!」

「止まらないと撃つわよ!」


 突然、奥の方から声が聞こえてきた。

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