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最近の若い子は怖いな

「それにしても細い通路だな」


 長い通路ではあるが、決して横幅は広くない。


 成人男性が二人寝転んだくらいの幅である。


 冒険者ではない者にとっては「普通じゃない?」と言われそうではあるが、ダンジョンで言うと普通ではない。


 この幅だと魔物と接敵した際に戦闘に支障が出るレベルだ。


 特に後ろの二人が問題。


 彼女らは遠距離武器を使う。


 そして、俺が前に出て戦うわけだ。


 とどのつまり、ある程度幅がないと彼女たちが放った攻撃に俺が当たる可能性がある。



「戦いづらい構造しているわね……」



「とりあえず基本は俺が主体で攻撃する。とりあえず二人は……ええとクリアリーだったか。クリアリー戦に備えてくれ」



「分かりました。念のため、軽いバフを発動しておきますね。ケネスさんには必要ないと思いますが……」



「いやありがたいよ。サンキュー」



 感謝を述べ、前へと進んでいく。


 というか、前に進むしかなかった。


 分かれ道があるわけでもなく、複雑な構築がなされているわけでもない。


 ただ薄暗い回廊を歩いて行く。




「これ本当に大丈夫なのか――」




 瞬間、横から針のようなものが突き出てきた。



「あっぶね!?」



 あと一歩進んでいたら脳天をやられていた。


 俺はバックステップをして、針が出た場所から距離を取る。


 ヒヤヒヤしながら前を見ていると、壁から手が出てきた。



「どうなってるのあれ……」



「壁から手が……!?」



 とにかくヤバそうなのは分かった。


 それは理解したので、とりあえず斬ることにした。



「お前やりやがったな! 危うく死ぬところだったぞ!」



 ――バシュン!



「斬るの!?」



「斬るんですか!?」



 相変わらず俺の判断は二人の想像を超えてしまうらしい。


 全く、これだから暇人のすることは分からないんだよな。


 困っちまうぜ。



「でもまあ、問題なさそうだけどな」



 俺が斬ったのは手の形をした『木』だった。


 壁からはみ出た破片からは、次第に胴体が出てくる。


 そして、目の前に一体の人の形をした人形のような物が現れた。


 おお……これまた珍しい魔物だな。


 詳細は分からないが、俺が知っている魔物に当てはめるならばアンデッドの類だろう。


 人間のような形をしているが、表情などはない。


 さながら木の人形のようなものだ。



 ――シュン!



「っと!」



 再度針がこちらに飛んでくる。


 咄嗟に剣で弾き飛ばし、相手を見据えた。


 どうやら敵の胴体から発射されているものらしい。


 なるほどな。木の体も攻撃に転化すれば便利になるってわけか。


 悪くない戦法だ。


 もし俺がこんなびっくり人間になったら同じ戦法を取るかもしれない。



「こんな魔物が出るから廊下の幅が狭いのね……!」



「ケネス! 大丈夫ですか!」



「大丈夫大丈夫。ここは俺に任せて、二人はのんびりとお茶会でもしていてくれ」



 相手は木偶の坊だ。


 もちろん悪い意味ではない。


 ただ、痛みを感じない分厄介なだけ。


 ま、それすらもある意味こちらにとっては都合がいいんだけど。



「お前、いくら斬られたって無駄だって思ってるだろ」



『…………』



「答えねえか。そりゃ口は付いていないもんな」



 見たところ、相手の傷は地味に回復していっているらしい。


 さながら木々が成長しているかのように回復していっている。


 まるで時計の針が逆回転しているみたいだ。


 さすがは時計台なこともある。


 面白い魔物を設置しているな。



「まず良い回復技術だってことは褒めて――」



 ――シュン!



 背後にいるリリーたちに当たらないよう、飛んできた針を思い切り叩き落とした。



「危ねえなおい! 褒めてやってるんだから話くらい聞け!」



『…………!』



「ちっ……!」



 今度は何発もの針が飛んでくる。


 俺はどうにか全て弾き飛ばしながら前進していく。



「あの針を全部叩き落としているの……?」



「私には見えないレベルなのですが……といいますか、多分私なら死んでます……」



 それくらいどうってことはない。


 多分ある程度の剣士なら別にできるだろう。


 知らないけど。


 少なくとも俺の爺ちゃんはできるだろ。



「もう遊ぶのはこれくらいでいいわな! 俺もそろそろ頭に来たぞ!」



 話全く聞いてくれねえしよ!


 オッサンの話は聞いて損はねえってのに。



「お前の弱点は大方分かっている。生半可な攻撃しても再生するんだろ? なら――」



 発射され続ける針を全て落とし、俺は一気に距離を詰める。


 攻撃の正解――それはもう分かりきっている。




「一発で――全身に負荷を行き渡らせる!」




 俺は剣の持ち手を逆さに構え、グリップ部分を相手にぶつける。


 《打撃強化》――これを剣に付与させた。


 もちろん俺は魔法剣士とかではない。


 だから簡単なバフ魔法ではあるが――的確に急所を狙えば問題ない。




 ――ガツンッッッ!!




 木偶の坊に当たると、体全体がぶくりと振動し――爆裂した。


 木々の破片がこちらに飛んできそうになったところを、カレンが結界魔法を発動して防いでくれた。



「ふう。面白い魔物だったわ」



「あれを一撃で……嘘でしょ?」



「弱点を即分析したんですか?」



「ああ……勘だな。経験だよ経験」



「「嘘……」」



 そりゃ長いこと冒険者してるからな。


 これくらい序の口だ。



「多分あれ……Aランク以上よね?」



「間違いなく……」



「お前ら何か言ったか?」



「「なんでもない」」



「おう?」



 なんだか裏で悪口でも言われてるのか?


 最近の若い子は怖いな。

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