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あまりにも眩しくて思わず頭を撫でてしまっただと!?

「やはりお主の実力は本物だ。お主はもしかしたら、次々と神々の迷宮を攻略し、誰もが記憶に残る英雄になるやもしれん」


「ああ……そうですね。英雄とやらには興味ないんですけど、神々の迷宮には挑みたいと思っています」


 暇だからということもあるし、二人の夢もある。


 仲間になった以上、俺は応援する必要があると思っている。


 追放後のいい暇つぶしにもなるし、俺としては都合がいい。



「各地域で神々の迷宮による被害が出ているのは知っておるな?」



「もちろんです。ほんと名前に対して印象は市民にとって悪いですよね」



「そこでじゃ。ここ、王都辺境から近いリレイ男爵領に存在する神々の迷宮に挑まないか。もちろんワシが送迎してやろう。英雄になるかもしれない人を送るんだ。全力で手伝いをしよう」



「マジですか。それならお言葉に甘えようかな。二人もいいよな、新たな神々の迷宮。早速行くか?」



 尋ねると、二人はこくりと頷く。


「もちろんよ。あたしたちはまだまだ強くなる」



「私もです。夢のためならば、いくらでも挑戦します」



「決まりだな。それじゃあ御者さん、お願いします」



「任せておれ! 早速乗るんじゃ!」


 御者が馬車の運転部分に乗り込み、こちらに手を振ってくる。


 これから、俺はきっと旅をすることになるのだろう。


 だが悪くない。いい暇つぶしだ。


 暇人にとって、これほど貴重な暇つぶしはないだろう。


 馬車に乗り込み、ふうと息を吐く。



「休みなし全速力で向かうと一日で着く! 任せておれ、ワシの馬たちは特別だ! 魔力が付与されている自慢の馬でな!」



 そう言って御者が馬にムチを打つと、かなりの速度で動き出した。


 おお……この人本気だな。


 俺が最初乗った時はこんな速度なんて出していなかった。


 それほど期待されているってわけか。


 あまり暇人に期待されても困るんだけど。


 ちらりとリリーたちを一瞥する。


 彼女たちのことを思うと、それも気にすることではないな。


「二人とも、ひとまず疲れただろ。とりあえず寝ようか」


「そうですね……私ずっと寝てませんし……」


「あたしも……ふぁぁ。お言葉に甘えて寝ることにするわ」


「俺もだ。御者さん、お願いしますね」


「もちろんじゃ!」


 そう言って、俺は目をつぶることにした。


 ガタンガタンと揺れる馬車、頬を掠める風が気持ちいい。


 どれくらいが経っただろうか。


 目が覚めると外は薄暗い。


 夜明け前と言った感じだろうか。



「そろそろ着く頃合いかな」



 なんて思いながらぐっと伸びをしようとする――




 ――ガタンッッッ!




「おお!?」


「ええ!?」


「なんなの!?」


 一際大きな振動と共に、馬車が急停止した。


 俺は思わず壁に腰をぶつけてしまい、痛さに涙を滲ませた。


 急な一撃は本当に勘弁してほしい……。


 それよりもだ。



「何があったんです!?」



 俺が窓から顔を覗かせて御者に確認しようとすると、目の前に複数体の魔物の姿が見えた。



「ゴブリンの群れじゃ……この辺りは人が住んでいない上に貨物馬車の移動通路になっておる。話には聞いておったが、やはりゴブリンの生息地帯になっておったか……」



 なるほどな。


 ゴブリンは妙に賢く、移動中の貨物を襲ったりする。


 貨物馬車の通り道になっているってことは、定期的に襲ってはそれで生活しているのだろう。



「俺たちが討伐します。行こうか、二人とも」



「もちろんです!」



「やったるわよ!」



 俺たちは馬車から飛び降りて、ゴブリンを見据える。


 相手は十体くらいの群れだ。


 相手はゴブリン。きっと卑怯な真似をしてくるだろう。



 ――シュン!!



「おっと」



 俺は咄嗟に飛んできた石を避ける。


 かなり巨大な石であり、速度も出ていた。


 さらに言えば頭を狙ってきたため、当たっていたら普通に死んでいたことだろう。


 やっぱり姑息な真似をしてきたな。


 姑息か。俺も生憎と姑息な真似が大好きである。


 嫌がらせというものは、暇人にとっては良い遊びだ。



「カレン、リリー。集中砲撃」



「「ラジャ!」」



 俺の合図と同時に、完全に殲滅するための砲撃が飛び交う。


 更に言えばリリーはミスリル合金の弾を試しているようだ。


 当たったゴブリンが一瞬で倒れていっている。



「残りの奴らは俺が斬ってやる!」



 地面を蹴り飛ばし、剣を構える。


 思い切り引き、そして斬撃。


 全方位集中の一撃は一瞬にしてゴブリンを葬り去った。


 剣を鞘に収め、ふうと息を吐く。


 ひとまず討伐完了だな。



「いい弾幕だった。で、リリーはどうだ? ミスリル合金弾丸の調子は」



「錬成はできるけど限界があるわ。せいぜい三発。これ以上になるとぶっ倒れそうになった」



「さすがは神の力だな。んじゃ、今後はそれを補えるような加護を貰うしかないな」



「攻略がこれからも必須そうね」



「リリーもケネスもさすがです! 私も……もっと頑張ります!」



 無邪気に笑うカレンに、俺はぽんと頭に手を置く。



「は、はわわ……!」



 っておい! やっべ。あまりにも眩しくて思わず頭を撫でてしまっただと!?


 セクハラだ……訴えられる!


「す、すまん!」


「だ、大丈夫です! はい!」


「もう……二人とも何やってるのよ」


「「あはは……」


 リリーに促され、再度馬車に乗り込む。


 少し恥ずかしさを覚えながら、無理やり目をつぶった。



「さすがは英雄さんたちだ! もうすぐ着くから待ってるのじゃ!」



「お願いします」



 ああ恥ずかしい恥ずかしい。


 まあ……カレンが何も思っていないようで安心した。


 これでもし悲鳴を上げられてたら、おじさん泣いてた。

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