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追放されたので、暇だから神々の迷宮に挑もうと思う

「ケネス、君はもう我々『龍の刻印』には必要ない」


 早朝。俺は重要な会議があるからと空き部屋に呼び出され、椅子に座りながらのんびり待っていた。


 朝から呼び出しってのは珍しいことではなくて、リーダーであるエドはよくこんなことをやっていた。


 何やら思い立ったら即行動が彼の考えらしい。


 だから今回もその面倒な考えに付き合わされる――と思っていたのだが。


「俺を追放? マジで言ってるのか?」


 思わず聞き返してしまった。


 まさかエドの考えがそこまで飛躍するとは思わなかったからだ。


 確かに思い立ったら即行動は悪いことではない。


 しかし俺を追放って……それはあまりにもデメリットが大きすぎるような気がする。


「アナもそう思っているのか?」


 もう一人の仲間、もといエドの恋人であるアナに尋ねる。


 正直意味はないと思っているが、エドよりかはまともだと思っている。


「申し訳ないけれど、これが私たちの答えよ。あなたは我々Sランクパーティには不要なの」


「ちなみにどうしてか、聞いてもいいか?」


 尋ねると、二人はお互いを見合ってくすくすと笑った。


 明らかに嘲笑しているとしか思えない笑みである。


「お前は器用貧乏すぎるんだよ! 僕たち魔法使い二人組と違って、ケネスは地味すぎる!」


「そうそう。地味な人がSランクパーティにいたらさ、恥でしかないのよね」


「は、はぁ。なるほどな」


 思わずため息が漏れた。


 特に反論しようとも思えないほどだ。


 俺の職業は剣士。そりゃ魔法使いと比べると地味かもしれない。


 だが、着実に実力は付けてきたつもりである。


 事実俺はSランク剣士として、ギルドにライセンス登録されている。

 

 階級で言えば最高ランクだ。


 なのに活躍していないと言われてしまえば……何と言うか、何も言えない。


「お前が抜けてくれるとさ、一人当たりに入ってくるお金も増えるんだ。役立たずは抜けてくれるとありがたいんだけどな」


「そうそう。器用貧乏一人にお金が吸われてるって考えると、嫌になるわ」


「分かった。んじゃ俺は抜けるわ」


 俺は椅子から腰を上げて、壁に立てかけていた剣を握る。


 全く、朝から呼び出しを食らったかと思えばこれか。

 

 本当に嫌になる。


「おいおい、命乞いはなしか? それとも強がっているのか? ああ?」


「本当は怖いんじゃないの? これからどう稼げばいいんだろうって?」


 どうやら俺が命乞いでもすると期待しているらしい。

 

 しかしなぁ、別に命乞いする必要もないんだよな。


 お金なら全く困っていない。


 二人はデートだったり食費だったり、かなり散財しているが俺は全く使っていない。


 貯金が趣味なこともあり、二十年は遊んでくらせるレベルのお金なら溜まっている。


 それに、個人にもSランクの称号が付与されているから抜けたところで、ソロで活動すれば済む話だ。


「ああ。怖い怖い。これからどうなることやら」


 主に二人の将来が。


 俺が色々と金銭面や依頼の管理。バックアップを取っていたのだが……。


「ふははは! 無様だな! 僕たちは愛の力でどうにかするからさ、まあ頑張れよ!」


「死なないようにね~! クスクス!」


 まあ、愛の力とやらで乗り越えてくれるのだろう。


「それじゃ、今まで世話になった。ありがとな」


「じゃあな! 死ぬなよ!」


「頑張ってね~!」


 俺はギルド内にある会議室を出て、受付嬢さんに脱退する旨を伝えた。


 かなり驚いていた様子だが、


「愛の力でどうにかするらしいですよ」


 と言ったら苦笑しながら受理してくれた。


 ギルドの酒場に座り、ぐっと伸びをする。


 さて、これからかなり暇になるな。


 しばらく遊んで暮らすこともできるし、怠惰な生活を送るか。


「なあ。神々の迷宮に挑んだパーティが帰ってこないらしいぜ」


「仕方ねえだろ。ありゃ人間が挑むものじゃねえ」


 ふと、冒険者の間でそんな声が聞こえてきた。


 神々の迷宮。それは、その名の通り神々が作りしダンジョンだ。


 難易度はランクでは振り分けることができない。


 それほど危険なものになっている。


 まさかそんな場所に挑む人間がいるなんてな。


 ……でも夢を見るのも分かる。


 クリアをすれば神々の加護が与えられると噂だ。


 加護を手に入れた者はどんな困難をも乗り越えると言う。


「あ、そうだ。暇だしチャレンジしてみるか」


 俺は前々から神々の迷宮には興味があった。


 しかしながら、エドたちは全く乗ってくれなかったのだ。


 今はソロである。


 自由なのである。


 のんびりスローライフを送るのも悪くないが、それじゃあ退屈すぎるしな。


「よし、行くか。神々の迷宮に」


 ◆


 これは、パーティを追放された暇人による無双譚。その序章である。

ここまで読んでくださりありがとうございます!読者様のご期待に添えるよう、全力で頑張らせていただきます!


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