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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第十二章-友
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拘束

「いったいどういうことさ!?

 レオンを拘束するって!!」


 怒号一声。ミナトが声を荒げる。相手はグレッツノーストの警備兵二人だ。


「知るか! 上からの伝達だ!

 関所を通過しようとする学術師、レオンハルト・フォーゲルを拘束するよう命令が出ている!」


 警備兵はいかにも傲慢な態度で三人に怒鳴り返す。

 それに対し、うんざりした声でエレナが尋ねた。


「その命令を下したのはどなた?

 悪いけど、その人、首が飛ぶかもよ?

 比喩や地位的な話ではなく、文字通りに。」


「どういうことだ?」


「今回我々は大公の命で行動しているわ。

 その妨害を行えば、それなりの処置が執られる。

 手形を見れば解るでしょう?」


 警備兵を挑むような視線で睨みつけるエレナ。

 怯みを見せた警備兵に向け、レオンハルトが一歩前に進み出た。


「行くなら同行しよう。

 拘束でもなんでもすればいい。」


「「レオン!!」」


 ミナトとエレナが同時に叫ぶ。

 当然だろう。この状態での彼の行為に同意する人間はいない。


 それを見た警備兵は、一瞬呆気に取られたものの、すぐに見下すような笑いを見せ、レオンハルトに手錠をかけた。


「聞けば貴様、魔導士だそうじゃないか?

 手向かいしたらその場で斬り殺すから覚悟しておけ。」


 レオンハルトは無表情のまま、唯々諾々と手錠を受ける。

 そんな彼に向けて、心配そうな声でミナトが声をかけた。


「レオン……。」


「大丈夫だ、ミーナ。問題ない。

 エレナ、上への報告は頼む。

 場合によっては学院長にまで話を通してくれ。」


「解ったわ。」


 険しい視線を警備兵に向けたまま、エレナは答える。

 耳に煌めくイヤリングも、彼女の怒りを受けたかのような輝きを見せた。


「ま、何をしでかしたかは知らんが、なんせ魔導士だ。きっととんでもないことをやらかしたんだろうよ。

 じゃあな、美人さんたち。

 おい貴様! キッチリ絞ってやるからありがたく思えよ!」


 手錠に腰紐……完全に犯罪者の体で引き連れられていくレオンハルトに、ミナトとエレナは視線を送る。


 片や心配そうな、心細そうな視線を。

 片や怒りに燃えた視線を。


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