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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第十一章-遺跡
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『轟雷』

 階段をさらに下へと進む。

 頭上からは相変わらず、カシャリ……カシャリ……と、機械たちの足音が聞こえてくる。


 まるで階下に追いつめるかのような、そんな足音を耳にしながら、四人は下層へと進んでいく。

 ミナトもエレナも、かなりの緊張を感じているのだろう。脂汗をかきながら階段を下りている。


 地下三階。


 一直線の廊下の向こう側に、一際大きな左右開きの扉が見えた。


「あれが管理室だな。」


 レオンハルトがそう言って、前に進もうとしたその時、背後の階段を警護ロボットが一気に駆け下りてきた。


 一体、二体……計六体。


「二人とも扉へ走れ!

 コム! 護衛は任せる!!」


「レオンはどうすんの!?」


「お察しなさい!

 魔法の出番よ!!」


 三人の声が入り乱れて廊下に響く。


 レオンハルトは瞬時に『防壁』の魔法を準備、警備ロボットの銃弾に備えた。


 ミナトとエレナが扉の前まで到着したのを確認し、再びコムに命令を下す。


「コム! 障壁は最大出力だ!

 衝撃波も通すな!!」


「了解しました。」


 軽く開いた右手を水平に上げ、前へと突き出すレオンハルト。


 集中――淡い光の点が、掌の数十クラン先に輝いた。


 展開――魔導球(サーキットスフィア)が蒼く輝き、一気に膨張する。


 抽出――魔導球内に輝く幾何学模様が複雑に変化しつつ、輝きが増していく。


 収斂――魔導球は一気に一点へと集中し、輝きが極限まで高まった。


 そして発動。

 青白い数多の雷光が魔導球のあった点から迸り、続いて大轟音が廊下の中に響き渡る。


 高位魔法『轟雷』。


 爆発的な超高電圧の雷撃を受けた警備ロボットたちは、一瞬の後に煙を上げる鉄屑へと姿を変えていた。


「凄い……。」


 驚きのあまり声を出すことすらできないミナトを見て、エレナは密かに語りかけてきた。


「あれが魔導士よ。

 こんな業を見せられたら、恐れて当然だと思わない?」


「そうかもしれない……。

 でも……。」


「でも?」


「あの人は大丈夫だ……って、そんな気がするんだ。」


「そう……。

 その感情は大事になさい。

 きっと彼にも通じるわ。」


 エレナはそれだけ言うと、ミナトにそっと微笑みかける。


 そしてミナトは、近づいてくるレオンハルトを、憧れを込めた眼差しで見つめていた。


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