表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第九章-過去
74/171

雑踏

 日の傾く雑踏の中、レオンハルトは一人歩いていた。

 表情は暗く、思いつめた顔だ。


(レオン様)


 チャンネル二番に音なき声が響いた。


(なんだ? コム。)


(はい。お二人は『白鹿亭』に宿を取ってます。

 いい宿ですよ? 合流しませんか?)


 コムの浮かれた声に向け、レオンハルトは不愛想に答える。


(まだしばらくぶらつく。

 二人との合流は最低でも二時間は見ておけ。)


(今、相当機嫌悪そうですね……。)


(ああ。最悪だ。

 貴族連中の不調法は今に始まったことじゃないが……。

 それでも、今回は特に腹に据えかねる。)


 レオンハルトの感情パラメータがコムにも伝わったらしい。

 コムからの送信が一旦途絶えた。


(何もなければ切るぞ。

 先にも言ったように二時間は合流せんからな。)


(わかりました。

 でもヤケは起こさないで下さいよ?)


(下らないことを言うな。)


 レオンハルトはただそれだけ言うと、コムとの回線を一方的に切断した。


 雑踏の人々が傾く夕日を受け、徐々に赤く染まっていく。

 夜も近い街の中に、彼はひとり溶け込んでいった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ