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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第一章-レオンハルト・フォーゲル
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学術院

「何だと!? 襲撃者を捉えられずじまいとは、なんという不手際だ!!」


 ランドルフ・カウフマン教授の神経質な声が、昼下がりの研究室に響いた。

 痩せぎすで節くれだった手が、机にバンバンと叩きつけられている。


「しかし教授。相手は超人じみた運動能力を持つ手合いでしたわ。

 いくらレオンでも取り逃がすことも考えられるでしょう?」


 レオンハルトをかばうかのようにエレナが口を挟む。


 それが気に入らないのか、さらに声を張り上げて教授は叫んだ。


「全力を出せばいい!! 魔導闘法は伊達だと言うのか!!」


「……申し訳ありません。」


 レオンハルトは哀しみの面持ちで頭を下げる。


「ちょっと、レオン!?」


「エレナ、失敗は失敗だ。

 今回は教授が無事だったこと自体、奇跡的だと考えるべきだろう。」


 レオンハルトは静かにエレナへと説明する。


「では、次は捕らえられるんだな?」


 教授はその言葉の内に敵意を隠そうともせず、渋面を作って問い質す。


「次と言うと……まさか、また出かけられるんですか!?」


「そうだ。絶対に外せない用事がある。」


 驚くエレナに対して平然と答える教授。


 レオンハルトは眉を顰め口を開いた。


「せめて、もう少し様子を見てからの方が良いでしょう。

 また襲撃があった場合、貴方を守り切るだけの自信がありません。」


「さっき言ったはずだ! 次は捕らえられると!!」


「教授、レオンはそんなことを口にしていません!」


 エレナには珍しい、声を張り上げての抗議。


 教授は舌打ちをして、二人に言い放った。


「数日中に、必ず話し合いに出なければならん……。

 昨日向かえなかったことで、先方の不興を買っている可能性がある。」


 教授はいらただしげに、その場で左右に行ったり来たりを繰り返す。

 数十秒ほど考えた教授は、語気も荒く言い放った。


「いいか、レオンハルト! 次は最低限、話し合いの場までは守り切れ!

 次の話し合いはこの数日中だ! これは絶対に譲らんからな!!」


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