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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第七章-二人
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遺跡

 この世界には『遺跡』という物が存在する。


 無論この言葉は、我々の世界で言う所の『古代の遺構』を指すのだが、この世界においては若干意味が異なってくる。


『遺跡』には大きく二通りの物が存在し、一つは二千年前後まで遡る、比較的『新しい』遺跡。こちらは通常の建築物やその痕跡をもって『遺跡』と呼ばれ、考古学や歴史学の対象となっている。


 問題なのは、それよりさらに『古い』と見なされている謎の建造物だ。


 これらは、ほとんどが未知の物質でできた建造物であり、その内には『回路(サーキット)』を始めとする謎の遺物、遺構がごまんと眠っている。


 この『遺跡』は、その建材や中に眠る遺物含め、何もかもが謎である。


 その奇跡的ともいえる技術が、いつ発生、発展し、失われてしまったのか?

 何故ほとんどの『遺跡』は地下に存在しているのか?

 どうやって地下にこんな大規模な建造物を建てたのか?


 そもそも何者がこの『遺跡』を建造したのか、それすらも解っていない。


 こういった『遺跡』を研究するのが、レオンハルトを始めとする遺跡工学者だ。

 彼らはその内に眠っている遺物だけでなく、『遺跡』そのものの研究も執り行っており、その建材、機構、発見される遺物など、様々な方面で研究対象は存在している。


 強靭無比の様々な物質、『回路』を利用した高性能エネルギージェネレータ・『魔導炉』、そしてレオンハルトが心血を注いで研究している高性能の義肢……『遺跡』から得られる情報や遺物は、何もかもが今の世界に大きな影響を与えるものだ。


 だが、その研究結果の内、何割かはいずれかの形で軍事転用が可能な危険性を孕んでいるとも言われている。


 その危険性ゆえに、時の皇帝、ヴィルヘルム・カーライルは研究内容の基本的な秘匿を命じ、研究の平和利用を半ば強制させている。


 しかしこの勅命は、世の人間に対して、遺跡工学者を『胡散臭い学者まがい』と印象付けてしまったとも言えるだろう。


 ろくに研究を世にも出さず、洞窟に潜り込んでは怪しい機械を弄り続ける……世間一般の遺跡工学者に対する印象はこんなものであり、彼らの研究が社会に大きく貢献していると知っているのは、市井の人間ではかなり限られている。


 だがレオンハルトは、そんな偏見を背中に受けても、なお研究を行なう。


 自身を必要としてくれる人間がいる限り、彼は決して歩みを止めない。

 それが皇帝の命によるものであってもだ。


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