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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第六章-決闘
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闇の中

 深夜、夜が白む頃。安宿のベッドでミナトがムクリと起き上がった。


「まただ……。」


 彼女の頭の中で声が響いていた。


『許すな! 殺せ!』


 トップレスの下着一枚という姿で、彼女はテーブルの前までやってきて、その上の水差しに手を伸ばす。


 これまでは、その声を聞くたびに新たに怒りを燃やし、レオンハルトを憎むことができた。


 だが、今は違う。


 彼を憎む理由など何もない。


 彼も巻き込まれ、必要以上に自らを責め苛み続けた、いわば被害者だ。


 十年間、どうすればいいのか解らないまま、闇の迷宮の只中を彷徨い続けていたのだ。


 彼を救いたい……そう思った。


 だが、どうすればいいのかが解らない。


 そんな懊悩が彼女の頭の中で渦巻いている。


 グラスに水を注ぎ、ひと息に飲み干す。


 心を落ち着かせ、彼女はベッドに腰かけた。


「まずは全力でぶつかろう。それで全部なかったことにして彼を許せばいい。

 それが彼を救う道なら、もうあんなことは忘れてもいいじゃないか……。」


 誰に言うでもなく、ポツリとつぶやくミナト。


 夜が明ける。


 朝日が窓から差し込んできた。


 決闘の日まで残り二日。

 ミナトもまた、苦悩の只中にいた。


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