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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第六章-決闘
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「レオン様! 果たし状ですよ、これ!?」


 レオンハルトがミナトからの封書を受け取ったのは、その翌々日のことだった。


 他の様々な手紙などの内容を見ながら、それぞれ分別していく作業中、まだ分別が行われていない、封を切っただけの手紙を見たコムが突然叫んだのだ。


 そんな叫びを聞いたはずのレオンハルトは、静かに、そして鷹揚に、その手紙を取り上げた。


 差出人はミナト・ライドウ。

 内容は確かに果たし状だ。


『仇敵 レオンハルト・フォーゲル。

 来る五月廿日午前五時、帝都リヒテンベルグ外れ、クラスの丘にて待つ。

 此処で全ての決着をつける。

 如何なる結果に相成ろうとも承知の上で来られたし。』


 短い文ではあるが、知性を感じさせる美しい文字で記されている。


(意外だな。どうやら彼女、教養は高いらしい。)


 うすぼんやりとそんなことを考えていると、コムが耳元で声を荒げてきた。


「受けるんですか!? 受けませんよね!?

 警備隊に連絡して捕まえてもらいましょう!

 今から行けばきっと動いてくれますよ!!」


「コム!!」


 まくしたてるコムを窘めるように、レオンハルトは叫んだ。


「俺はこの決闘、受けるつもりだ。」


「え? ええっ!?」


 レオンハルトの返答を受け、驚きの声を上げるコム。


「彼女の恨みは、適当に誤魔化して終わらせることはできんだろう。

 だからこそ、こちらも全力で相手をせねばならん。

 無論殺すつもりも、殺されるつもりもない。

 必ず良い方向に結果を導き出す。」


 真剣な表情でレオンハルトはコムに向けて言った。

 その言葉を聞いたコムが心配そうな声を上げる。


「でも……それって根性論で何とかなるものなんですか?

 向こうはあんな大きな斧を振り回す人ですよ?

 本当に上手くいくんですか?」


「向こうには悪いが、戦えば必ず勝てる相手だ。

 だが、今回は戦わずして勝たねばならない。」


「そんなの理屈が通じてないです……。」


「『活人拳』というものだ。

 概念まで理解しろとは言わん。」


 それだけ言うと、レオンハルトは、カレンダーを見た。


 二十日まで、あと三日。

 それまでにどうするのかを考えなければならない。


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