表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第五章-修羅
44/171

不測

「何だと!?」


「はい、リンク軍曹が急ぎ連絡しろと。」


 使いの人間の言葉に、ヒュウガの顔色が変わった。

 それと同時に、眉根を寄せ深く考え込み始める。


「どうしたのさ?」


 ミナトが大斧の素振りをやめて、ヒュウガの元にやってきた。

 彼はミナトに向けて、言った。


「レオンのヤツが、学術院を飛び出していったらしい。

 恐らく行先は教授の自宅だろうな。」


 それを聞いたミナトは小首をかしげて考える。


「でも、押収作業はまだ明日のはず。

 あたしたちが動くのは、その夕暮れだよね?」


 そんなミナトの言葉に、ヒュウガが答えた。


「ああ。こいつぁなにか学術院でゴタがあったな?

 査問会終了後、レオンハルトが警備につくという線が完全に崩れた。

 やむを得ん。俺たちも急ぎ教授の自宅に向かう。

 いけるか? ミナト。」


「ああ。十分回復はしてる。」


「よし。」


 訓練場の出口から小走りで厩舎に向かう。

 そこには以前使った馬が、ノンビリと干し草を食んでいた。


「さ、食事は終わりだよ。」


 一回り大きい軍馬に、優しく声をかけ、首を撫でるミナト。

 軍馬はそれに答えるかのようにブルル……と鼻を鳴らした。

 

ヒュウガとミナトは、馬にまたがり、厩舎の出口へと歩を進めていく。


「伝令!」


 ヒュウガが叫んだ。

 その号令を聞いた伝令の一人が駆け足でやってきた。


「マイヤー曹長、リンク軍曹に、目標の屋敷に向かうよう伝えろ。急げ!」


 伝令は無言で敬礼をすると、施設の奥へ向かい走っていく。


「テオは、今どこに?」


 姿の見えないテオについてミナトが尋ねる。

 その問いに、間髪入れずヒュウガが答えた。


「教授の家だ。

 どうにも嫌な予感がする。俺たちも急ぐぞ。」


 カモフラージュの茂みから馬を走らせ、二人は一路教授宅へ向かった。


 夕暮れの中、馬は走る。


 そんなヒュウガの心の内では、得体の知れぬ大きな不安が渦巻いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ