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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第四章-『回路(サーキット)』
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正体

「『回路(サーキット)』か……。」


 月明りが煌々と部屋の窓を照らす。


 そんな夜の研究室。エレナとコムの二人を目の前にし、レオンハルトが沈黙を破ってつぶやいた。


「どうしたの? 藪から棒に。」


「いや、疑問に思った。

 ここまで『回路』があり溢れているとはどうにも思えん。」


 エレナの返答に対し、レオンハルトがさらに答える。


「ミナトの大斧に埋め込まれた『回路』はかなりのものだった。

 加えてあのシュヴァルベだ。あの女、『転移』の『回路』を持っている。

 市井の錬金術師が『回路』を持っていること自体驚異的にも関わらず、まさか高位魔法の『転移』が使用できる物を持っているとは恐れ入る。」


「さらに言うなら、あの銃です。

 あれ、魔導器でしたよ?」


 コムが会話に割って入ってきた。


 その言葉を聞いたエレナが、小首をかしげつつ口を開く。


「『回路』に魔導器、か。一筋縄ではいかないわね。

 唯一考えられる線はあるけど、それは考え難いし……。」


 どこか遠くに視線を投げかけていたレオンハルトは、エレナに目を向ける。


「考えられる線とは?」


「彼女も学術院の関係者の可能性よ。」


「成程な。十分検討に値する。」


 真剣な表情でレオンハルトは答える。

 それに驚いたかのように、エレナは声を上げた。


「ちょ……ちょっと待って!

 もしそうだとしたら誰だって言うの?

『回路』を利用する人間は結構いるわよ?

 その人間一人一人に、『お前はシュヴァルベか?』なんて聞いて回るとでも?」


「だが女性に限れば話は変わってくる。」


「確かに女性で『回路』を利用する研究者は限られてるわ。

 でも、その中であそこまでの女丈夫がいたら、それこそ口に上らないわけがなくてよ?」


「そうだな……。

 だが、切り捨ててはいけない意見だと俺は考える。」


「理由は?」


「直感さ。」


 レオンハルトは月を見上げつつ、つぶやくようにそう答えた。


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