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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第三章-襲撃
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コム

「大変ですね……僕も手伝いましょうか?」


 自宅の書斎で、レオンハルトは紅茶を飲みながら、コムと話をしていた。


 一口カップを啜り、レオンハルトは口を開く。


「確かにお前の防御フィールドは無敵だ。

 だが、恐らく今回の襲撃は少人数となる。

 俺とエレナだけでも何とかなるさ。」


 苦笑しながら語るレオンハルト。

 それに異議を申し立てるかのようにコムが話しかけてきた。


「なぜ少人数とわかるんです?」


「まず一つ。前回の襲撃が少人数だったからだ。

 本格的な暗殺なら、初手から十人単位で命を狙ってくるだろう。

 それを考えても、ただの暗殺とは考え難い。」


 紅茶をもう一口啜り、言葉を続ける。


「もう一つは相手の練度だな。

 先も言った通り、前回は少人数だった。

 これは人を集められないか、もしくは集める必要がないかのどちらかだ。

 襲撃者は四人。皆かなりの手練れではあった。

 そう考えると後者だが、同時にそれだけの手練れをより多く集めるのは一苦労だろう。

 となれば結局前者だ。人手は集められない。」


 コムの瞳が少し暗くなった。まるで何か考えているようだ。


 再び瞳が緑で明るくなり、発声装置が声を出す。


「向こうの規模の事を考慮から除外してますよ。

 相手が手練れを多数揃えた何者かだったら、相当数集めるのも容易なのでは?」


 レオンハルトは苦笑しながら、紅茶のカップを皿に置いた。


「先にも言ったはずだ。本格的な暗殺なら、初手から十人単位だと。

 恐らくこれは、教授に対する警告の類だ。

 だとしたら、もう十分に役目は果たしている。

 もしこれ以上襲撃があるとしたら、それは教授の行動に対する妨害だろう。

 問題は、その妨害を受けるような行為を教授が行っていること、これに尽きる。

 せめて何者との会談なのか、それが解れば……。」


 背もたれに深くもたれかかり、目を閉じて考えるレオンハルト。


 コムは滑るように宙を移動し、その前に進んできた。


「やっぱり僕も行きますよ。

 遮蔽フィールドを使えば、人間の目は欺けます。」


 レオンハルトは小さくため息をついて、ボソリと言った。


「覗きというのは、どうも、な。」


「でも、今後の事を考えればやむを得ない措置とも考えられますが?」


 コムの言葉を考えるレオンハルト。しばしの後、彼は目を開けてコムに言った。


「確かにその通りだ。

 ただし、遮蔽フィールドは絶対に外すな。

 お前は最後の切り札にする。」


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