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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第二十一章-巨人
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自決

「リーマン先生。」


 管制室の研究員が、コンソールに映るエレナに向けて語りかける。

 恐らく巨人の操縦席には、彼の顔が小さく映し出されているだろう。


『どうした?』


「熱線砲の状態があまりよろしくありません。

 発射可能な弾数は、最大出力で一発だけです。」


『それだけでも十分よ。

 帝都を焼けば私たちの勝ちなんだから。』


「解りました……ご武運を!!」


 通信を終えた研究員は満足げに微笑み、椅子へと深くもたれかかる。


 その瞬間、ガァン! という凄まじい音と共にドアが叩き割られた。


 管制室にいた研究員全員が入口へと目を向ける。


「全員動くなぁっ!」


 突入と同時に一喝を浴びせるミナト。

 そんな彼女を研究員たちは冷ややかに見つめていた。


「ここのリーダーは誰だい?」


「僕だ。」


 先ほど通信をしていた研究員が立ち上がり、ミナトの元へやってきた。


「覚悟を決めたって顔だね……。」


「無論だよ。この計画に参加した以上、覚悟はとうに決めている。」


 ミナトの真剣な眼差しにも負けぬ気迫をもって、研究員もミナトを睨む。


「君たちには、今回の件の証人になってもらう。

 無論、弁護士は付けた上で、裁判は厳正かつ公平な……。」


 ギルベルトが口上を述べている最中、周りの研究員が苦しみだした。

 見れば、ミナトの目の前の研究員も、口から泡を噴き出して膝から崩れている。


「毒!?」


 ミナトが慌てて研究員の肩を掴み、大きく揺さぶる。


「なんで……なんでこんなっ!」


「どうせ……捕まっても……反逆罪で死罪は免れない……。

 なら、僕たちは……名誉ある死を選ぶ……。」


「死んだところで名誉などない!

 ただ罪人として名前が残るだけなんだぞ!!」


 ギルベルトの怒号が響く。


 それに対し、研究員は最期の声で一言遺して逝った。


「リーマン先生……頼みます……。」


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