反撃
「何事か!?」
バルメスの遺跡の内部に警報が鳴り響く。
エレナが大声で警報の意味を部下に問い質した。
「はっ、侵入者です!
数は三!」
部下の言葉を聞いたシュヴァルベが口を開いた。
「正確には四でしょう。
連中がやってきたという事では?」
「まさか!? そんなに早く回復できるはずが……。」
シュヴァルベのその言葉を聞き、エレナは考えを巡らせる。
レオンハルトの傷、ヒュウガのダメージ、そしてミナトの暗示。
エレナの中では、これら全てを一斉に治せる施設はなかった。
考えられるのは……。
「どうやら、エキシマスに知られていない遺跡があったようね……。」
エレナの発言にシュヴァルベの顔色が変わる。
「エキシマスに!?
ではギルベルトも……!!」
「可能性はあるかもしれないわ、母さん。
叔父さんは生きている……いえ、きっとコムの正体が叔父さんよ。」
シュヴァルベの顔に焦りが浮かんだ。
だがその直後、彼女の表情が一気に引き締まり、マントを翻して、管制室から出て行こうとする。
「どうするの?」
「迎撃する。警備兵を総動員。
ここにある人形も全て出撃。未調整でも構わん。
前線指揮は私だ。」
シュヴァルベは、冷徹な大公としての声で答える。
エレナはそんな彼女の様子を見て、小さくため息をつくと、状況を示すモニター群に目を向けた。
監視カメラの一つには、レオンハルトたちが廊下を駆け抜ける姿が映し出されている。
「レオン……なぜ生きているのよ……。
これで三度目よ? あなたを殺すの……。」