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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第十九章-慕情
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捲土重来

「まずは、ベルセンに向かった部下と合流してぇところだな。」


「合流予定はどこだったんだ?」


「アーカナスだ。あそこならベルセンもヴェルミナもほぼ同じぐらいだからな。」


 ヒュウガの言葉を受けて、レオンハルトは考え込んだ。


「でも、ここがエキシマスだとしたら、アーカナスって相当遠いんじゃ……。」


 眉を曇らせてヒュウガの顔を見るミナト。

 それに対して、ヒュウガはあっけらかんと答えた。


「いや、ここの『転移』を使やぁ簡単だろ?

 なんせ、ヴェルミナからここまで一瞬、一発だ。」


「そうはいかない。」


 ヒュウガの言葉を否定するギルベルト。


「ここの転移システムは、このコムのボディを介してなら、どこの場所からでもこの遺跡に帰る事はできる。

 だが、ここから任意の場所へと転移するのはできない。

 特定の道標を仕込んである場所へしか転移できないんだ。」


「マジかよ……。」


 言葉を失うヒュウガに対し、レオンハルトが口を開いた。


「アーカナスまでなら一日もあれば着ける計算になるな。

 帰りはここの転移システムを利用すれば、ヒュウガが言った通り一瞬だ。

 ただその間、バルメスを放置しておくのは避けたい……。」


「この間の計算を元に考えれば、ここからバルメスって、下手をすればカッツバルからより近いよね?

 だとしたら、まだ猶予はあると思うよ?

 一手遅らせても、正規兵との連携を考えた方がいいんじゃないかな。」


「そうだな……。」


 ミナトの考えを聞き、思考を巡らすレオンハルト。


 しばしの沈黙の後、レオンハルトは再び口を開いた。


「俺たちはここを拠点にして、バルメスを攻略する。

 同時に……少々心苦しいが、正規兵の方々には後詰めを務めてもらう。

 バルメスに残る残存勢力を一掃するのはそちらに任せよう。」


「俺たちは、エレナと『教授』だな?」


「必然的にそうなる。

 ミナト君の『回路(サーキット)』も新調し、鎧もここの警備が使用していたものを使う。

 これなら『教授』が残り何体いたとしても、経戦能力は十分になるだろう。」


 ヒュウガの言葉に答えるギルベルト。


「しかしまさか、機械の脳で魔法が使用できるとは考えもしなかったな……。」


 レオンハルトが瞳を閉じて静かに言った。

 その言葉を聞いたミナトが驚きの声を上げる。


「ちょっと、それホント!?

 じゃあ、ギルベルトさんは、今の状態でも魔導士なの!?」


「以前ほどに魔法を連発できる訳じゃないがね。

 そもそも魔法というものは、機械の脳にある仕組みを利用しなければ使うことすらできないはずだった。

 だが、人間の脳と言うのは不思議なものでね。長い時間をかけてその仕組みを脳内に生成してしまったらしいのだ。

 そして今では、機械以上に魔法を使用できる、レオンハルトのような者まで産まれているのだから、人間の適応能力と言うのは底が知れない。」


 ギルベルトの説明を聞き、ヒュウガが満足そうに微笑んだ。


「ソイツを聞けば百人力だ!

 魔導士二人に気功術、高性能の武装を持った四人組なら負けっこねぇ!!」


「だが油断はできん。

『教授』は俺たちとの戦いを経験することで、性能を上げてくる性質がある。

 ここで一網打尽にし、生き残りを出さないよう徹底しなければ駄目だ。」


 レオンハルトの言葉に、表情を引き締めるミナトとヒュウガ。

 余裕の中にも油断は決して見せない、そんな様子を見たギルベルトが言った。


「その表情ができるなら安心だ。

 まずはアーカナスまで行こう。

 レオンハルト。大変だろうが、『転移』を頼む。」


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