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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第十七章-強襲
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帰還

 レオンハルトがコムと共に、ベルセンの城から戻ってきたのは、そこからたっぷり一時間が経ってからだった。


 再び『転移』を繰り返して戻ってきた二人を待っていたのは、洞窟の外で表情を殺して待ち続けていた、ミナトとヒュウガだった。


「どうしたんだ? 二人とも、そんなところで。」


 不思議そうな声で尋ねるレオンハルトに向け、ミナトが泣きそうな顔で何かを言おうとする。

 それを押し止めて、ヒュウガがレオンハルトに答えた。


「エレナが殺られた……。」


「なんだと?」


 レオンハルトの表情が曇り、わずかに視線が逸れた。


「死体はどうなっている?」


「まだ……何も手を付けてないよ。

 レオンもちゃんと確認するはずだって、ヒュウガが言うから……。」


「助かる。」


 レオンハルトはミナトの言葉に短く答えると、洞窟へ向けて大股で進んでいく。

 そのまま遺跡の内部へ入り、問題の部屋まで一直線に突き進んでいった。


 部屋の中には、二人が見たのと同様に、一番奥の制御卓に座って突っ伏す形で死んでいるエレナの遺体があった。

 頭部からの血潮は表面が固まって、もう流れは止まっている。


「コム。どう見る?」


 レオンハルトは眉根を寄せたまま、コムに状況を判断するよう命じる。

 コムは無言のまま、遺体の状況を走査(スキャン)し、レオンハルトに回答した。


「おかしな点が最低でも三点存在しています。

 これは、状況の再確認が必要ですね。」


 それを聞いたレオンハルトは、二人に状況を尋ねた。

 返ってきた答えは、先の亡霊たちとの戦闘の結果、実働隊長を討ち取ったこと、その後、シュヴァルベを追い詰めたこと。

 そして問題の、シュヴァルベが転移し、遺跡の中に現れた事と、外部との通信をした直後にこの状況となったことだった。


「だとしたら、やはりおかしいです。」


 二人の説明を受けたコムが、静かに口を開いた。


「この遺体の傷口は……。」


「待って!」


 強い口調でミナトが叫んだ。


「まずは……弔おうよ。

 このままじゃかわいそうだよ。」


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