コムの自信
「成程。つまりは……あー……貴君が魔導士殿の相方ということなのだな?」
「コムと言います。よろしくお願いします。」
「コムって言うんだ。こちらこそよろしく。」
コムがベルセンの城へ到着した直後、彼はその謁見の間において、公爵とその子息、エドガー・ザウアーラントに拝謁していた。
なお、この場には安全のため、公爵とエドガー、そして老執事とフリードリッヒ伯爵のみがその場に居合わせている。
公爵はコムに向けていくつかの質問を投げかけてきた。
「時に貴君の身体でどのように攻撃を防ぐかを聞かせて欲しい。
斯様に小さき身では盾にもなるまい。」
「あいにくと、僕は自分の身体よりずっと大きな障壁を作り出すことができます。
必要ならばあらゆる攻撃を試してみてください。
城攻めの岩でも防いで見せますよ?」
「では、次に聞きたい。
貴君は自身の意思で動くことができるのか?
今ここにいるのは魔導士殿の操作によって動いている、というようなことはなかろうな?」
「僕は自律稼働の機械で、レオンハルト様とは別の存在です。
確かに機械的に作られた意思ではありますが、別の思惑で動いているとお考えください。
また、命令は理解しますが、危険と判断した場合は反対意見も具申します。
採り入れるか否かはお任せしますが、機械の浅知恵と侮るのはやめて頂きたく存じます。」
「ふふ……ははははっ! 気に入ったぞ!
この儂に物怖じすることなく意見を具申するなど、人間でもなかなかおらん。
改めて君に愚息を預けたい。
何卒頼む。守ってやってくれ。」
公爵はそう言うと、息子に目配せをする。
気付いたエドガーは、コムに向けて改めて挨拶をした。
「改めてよろしく頼むよ、コム。
悔しいけど、僕は生き残らなきゃならない。
父さんと討ち死にする覚悟はあるけど、その覚悟をもって再起の礎にしろと言われてしまってはね……。」
「大丈夫です。僕が必ず守ります。
秘策中の秘策もありますから、期待してください。」
コムの言葉を聞き、満足そうに頷くエドガー。
そこに伯爵が軽く右手を上げて、発言を求めてきた。
「なにか? 伯爵。」
「いえ、私事ではございますが少々。
コムと言ったね。レオンハルトは健勝かな?」
「はい。つつがなく。」
「そうか。何かと物騒なことに巻き込まれていると聞いていたが、今のところは無事という事だな。」
「そうなります。
でも、まず大丈夫だと思いますよ?」
「何故かね?」
「頼もしい仲間がついてますから。」