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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第十五章-暗雲
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疑惑

「そうなると、俺たちの負担が増えるってワケだ。」


 執政所を後にする道すがら、ヒュウガが伸びをしながらぼやきを入れた。


「そうなるね……そこのところ考えに入れてくれたの? レオン。」


 ミナトがレオンハルトの顔を、不服そうに覗き込む。


「無論考えた。

 だが正直なところ、シュヴァルベがエレナの命を狙っているというのは、どうも本気ではないように思える。」


「どういうこと?」


 名前を出されたエレナが、疑念の言葉を口にする。

 レオンハルトはその言葉に答えを返した。


「もし本気で君の命を狙うとしたら、わざわざミーナと全力でやり合う必要なんかない。

 ましてコムまでいるんだ。余程の策を弄しない限り、そうそう命を狙う事なんかはできないだろう。

 それを承知で奴は君を狙っているというが、奇襲すらしてこない。

 ここまでされては、向こうの本気を疑いたくなる。」


「違いねぇ。

 せめて夜討ちぐらい仕掛けてこねぇと成功なんざしねぇわな。」


「加えて組織の連中だ。

 エレナの命を組織ぐるみで狙うと宣言したにも関わらず、シュヴァルベと同じく本気が見えん。

 君の命を本格的に狙うなら、俺と同じく人形を用意してもいいだろう?」


「だからと言って、私の護衛をおろそかにされちゃ困るわよ。

『狙われてないかもしれない』であって、『狙われてない』と断定できてないんだから。」


「解っている。

 だからヒュウガ。君もシュヴァルベの対応に回ってくれ。

 二対一なら、絶対だ。」


「まあな。素人さん相手に大人げねぇかもしれんが、それだけの覚悟持ってるってんなら相手してやるのも礼儀だ。」


「それなら絶対……か……。」


 どことなく不満そうな表情でエレナは視線を逸らす。


 かき上げた髪の奥に蒼いイヤリングが日を受けて輝いた。

 ミナトの目にその光が飛び込んだ瞬間、胸の内に妙な怒りが湧き上がる。


 ミナトはその感情に戸惑いながら、それを何とか押しとどめようとしていた。

 かつて感じていた黒い感情を思い出したが故に。


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