捜索
宿場町アーカナスには、物々しい雰囲気が漂っていた。
妙に多い、軍人や官僚らしき人物。
彼らが忙しなく町中を動き回り、中央にある執政所へと駆け込んでいる。
レオンハルトが宿を探す一方で、その様子を訝しげにミナトが観察している。
「お探しの人がいるのかな?」
「ま、粗方そんな所だろうよ。」
そう言う二人の視線は、レオンハルトへと向けられる。
「どうした? 俺のことを言っているのか?」
不可解そうな顔をしつつ、二人の顔を返す返すで見つめるレオンハルト。
そこに後ろから三人の人影が近づいてきた。
エレナがそれに気づいて、影の主を見る。
「レオン、どうやら見つかっちゃったみたいよ?」
その言葉を聞いた三人は、エレナの視線の先に目を向ける。
そこには二人の軍人風の男性たちと、一人の官僚風の女性が様子を窺っていた。
「レオンハルト・フォーゲル先生ですわね?」
やや年配気味の女性はレオンハルトに右手を差し出しつつ、自己紹介を始めた。
「私、ザウアーラント公爵閣下の筆頭秘書官を務めております、カミラ・メルケルという者です。
ここに控えておりますのは、ザウアーラント民兵隊の人間です。」
そう紹介を受けた二人の男性は、丁寧に敬礼をした。
「クルト・レーデ上級大尉であります。」
やや小柄で線の細そうな青年が、まず挨拶する。
「オリバー・トット少佐であります。いきなりのお呼び止め、ご容赦頂きたい。」
続いて大柄の男がそう挨拶した。
「用件は?」
レオンハルトが握手をしつつも、やや不機嫌な声で秘書へと返答する。
「道すがら話しましょう。
まずはとにかく執政所へ。」
秘書がそう言うと、二頭立ての馬車が二台やってきた。
それを見たミナトが心配そうに尋ねる。
「これ、あたし乗っちゃっていいの?
この斧、相当重いんだけど……。」