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学術師 レオンハルト ~人形(ひとがた)たちの宴~  作者: 十万里淳平
第十四章-兆候
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足止め

「しかし参ったね……。

 調べがつくまでご逗留ください、じゃぁな……。」


 クラレスの宿屋『金羊亭』の一室に押し込められた五人。

 ヒュウガがベッドで横になって愚痴る。


「仕方ないよ。コトがコトだもの。

 さすがに公爵閣下の殺害に居合わせたとなったら重要参考人でしょ?」


 同じベッドに腰かけたミナトが、流し目でヒュウガを見つつ答える。

 ゆっくりと部屋の中を行ったり来たりしていたエレナが足を止め、椅子に腰かけているレオンハルトに尋ねた。


「どうするの?

 また学院長に連絡して手を回してもらう?」


「いや、それは無理だな。

 ミーナが言った通り、俺たちは重要参考人だ。

 前回のような勘違いでの拘留とは話が違う。

 少なくとも通り一辺倒の取り調べが終了しない限り、解放されんだろう。」


「その間にも、最後の公爵の命は狙われますよ?

 どうするんです?」


 コムの言葉を聞いたヒュウガがつまらなそうに答える。


「こうなっちまったらどうにもならねぇよ。

 あの怪物がまたぞろやってきて、ザウアーラント公お命頂戴、でおしまいさ。」


「ヒュウガの言う通りだ。あの人形を止める術はない。

 恐らく完全に止めることができる人間は、かなり限られる。」


「それができるのは自分だけ、って言う口ぶりね。」


 エレナがイヤリングを揺らして、嫌味たっぷりにレオンハルトを挑発する。

 その挑発を受け流し、レオンハルトは答えた。


「俺が知る限りで言うなら、ヒュウガ、ヒュウガの兄弟子と師匠。

 俺の師もなんとかできるだろうし、正規兵で名の知れた人間の中にもそう言った人間が数人見受けられる。

 問題はほとんどが帝都に集中しているということだ。

 ザウアーラント公を助けに行ける人間はいない。」


「打つ手なし……だね。

 遺跡はどうするの?」


 ミナトがレオンハルトに尋ねる。

 レオンハルトはその問いに対し、あまり焦った風も見せず答えた。


「そうだな。そこが問題だ。

 ここはひとつ先手を打つしかない。」


「どうやるんです?」


 不思議そうな声を出して浮かんでいるコムに、レオンハルトは言った。


「お前が先行して、鍵をかけてくるんだ。

 そうすれば連中は手も足も出ないだろう。」


「なるほど……って、どうやって行くんです?」


「行きは『転移』を使えば一瞬で済む。

 お前一人なら十分な距離を跳べるはずだ。」


「帰りは?」


「飛んでくるしかないな。」


「冗談でしょう!?」


 二人のやり取りに苦笑する面々。


 そして十分後。


 警備兵が取り調べのために部屋へやってきた。


 部屋の中には四人の人間がいたが、一人の機械は既にいなかった。

 もっとも、初めから姿は見えなかったのだが。


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