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『箱庭の蓋が開く時』

作者: 牛蒡野。時雨煮、

 年単位で時間を空けて投稿したので初投稿です。


 こっそりお題を貰ったのでこっそり息抜きがてらに書きましたが、該当ジャンル作品にあまり触れた事がないので貰ったお題通りかどうかは解らんホイ。





 ゼロ、ゴ、サン、ゼロ。

 覆いかぶさり闇を生成していた瞼が開かれ薄暗い部屋を視界へ、速やかに起床し折り畳み式簡易寝具を片付ける。

 洗面所に向かい身支度を整えたら簡易デスクとパイプ椅子をセット、就寝中に届いていた食糧パックをトレーに広げ朝食を摂取。半固形状のスープは舌触りが滑らかで今日は俺の好きなミソ風味だ、これだけで今日の作業効率が上がりそうになる。




 ゼロ、ロク、ゼロ、ゼロ。

 通路の一番奥から順に扉が開き中央にある筒状の移動機械へ向う仲間たち、通路一番手前に住まう俺は全員が移動した後最後に俺も出社。

 今日も一日頑張ろう。




 ゼロ、ナナ、ゼロ、ゼロ。

 朝の確認事項と連絡が終わると各々が業務に就き始める。

 水の流れを一日管理する奴、土壌の性質を一日見続ける奴、どこに使うか解らないが何かしらの部品を延々と作り続ける奴。それぞれがそれぞれの仕事を効率的に流れで行い、俺たちの日々の生活は成り立っている。

『――デンレイ、デンレイ。該当ア組担当地区、該当ア組担当地区』

 施設内の白色蛍光灯が全て赤色に染まると同時に来る緊急連絡、頻度はそう多くもないが少なくもない為新規配属の若者だけびくりと反応していた。

『――サン、マル、ゴ番ノ規定日数期間作業効率低下ヲ確認、地区管理職ハ本日該当ヲ廃棄処分セヨ。繰リ返ス。サン、マル、ゴ番ノ規定日数期間作業効率低下ヲ確認、地区管理職ハ本日該当ヲ廃棄処分セヨ』

 ありがたい機械音声が終わると蛍光灯の色も元に戻り、俺たちも普段通りの作業に戻り一日を過ごす。

「今日は久しぶりにあれがあるな」

「そうだが作業に集中しろよ」

「へいへい」

 ぼそりと隣人が呟き俺も窘めつつ返答、俺も隣人も規定時刻まで作業に戻った。




 イチ、キュウ、サン、マル。

 俺たちはずっと前から誰かが廃棄処分になると、決まって集会場に配布食糧を持ち寄って簡単な宴会という物をするようにしている。配布食糧の内該当者が好きな物をみんなでそいつにくれてやり、該当者は遠慮なく貰い俺たちも喜んでそいつに差し出すそういう宴会。

 最初に廃棄処分になった奴がどこからそういう知識を持ってきて、実際にやってみるとなんとなく楽しかったから続いている恒例行事と言うやつだった。 

 この時ばかりはみんな作業中より表情が多くなり、かくいう俺もその内の一人で普段より表情筋が動いているのが良くわかる。

 宴会場は住居区域の一番奥、通勤とは真逆の位置に存在し俺の部屋が一番遠い。

 あっという間に終わった宴会と各々部屋に戻っていく仲間たちを見送り、最後に隣人を見送ろうと歩を進める。

「送ってってやろうか?」

「何言ってんだ、お前を見送ったらすぐそこだ」

「はっはっはっ! そりゃそうだな、じゃあな!」

「ああ、じゃあな」

 隣人が部屋に入るのを見送り俺も最後に自室に戻る。




 ニ、ゼロ、ゼロ、ゼロ。

 簡易デスクの上に端末を載せて起動、インカムをセットして音量を上げる。

「ア組地区管理室より報告。目標が住居ボックスに収納されました、五分後にはそのままダストシュートになります。蓋の解放をお願いします」







『――ア組管理室ニテ未報告ノ微量ノ ナトリウム・カリウム・アルブミン・グロブリンを確認。至急現地確認・報告セヨ』


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