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Once upon a time in Another world  作者: ちょこみんと
二人の神子
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二人の神子3

 死神、それは神と同等又はそれ以上に力を持った神の派生一族。悪魔を従え人間や神子に被害をもたらす、危険な種族。

 そう孤児院で教えられてきた。

「ノエルちゃんはなんで死神が敵なのかわかる?」

 ブランは読んでいた本を閉じて、ノエルに問いかけた。

「数百年前、神と死神が対立して善の神、悪の死神として、分けられたから……?」

「まぁそれも正解かな、でも詳しいことは孤児院でも話されなかったよね。死神と悪魔は対峙しないといけないって、ことだけしかわからないよね」

「うん。でも巡礼の邪魔をするなら倒さないとね……」

「そうだね……いずれは誰かが倒さなきゃいけないし」

「死神はなんで悪いことばっかりするんだろ……」

「それがわかんないよね……」

 

 ノエルとブランがベッドに座って会話を続ける。アレンは武器の手入れ、マイラとダグラスはお菓子を摘んでいる。

 先程まで晴れていたのに突然近くで雷が落ちた。

「いきなり何!?」

 マイラがびっくりした様子で窓を開けた。窓を開けてすぐダグラスは、悪魔の匂いを嗅ぎとった。

「悪魔がうじゃうじゃいるぜ……こりゃあ……」

「みんな、行くぞ」

 マイラは風の精霊を呼び出しダグラスとアレンを乗せて、悪魔のいる方向へ向かった。ノエルとブランは羽を出し自力で悪魔のいる方へ飛んでいく。ダグラスとアレンは地面に降り飛んでいない悪魔の討伐を始める。マイラは風の力で飛んでいる悪魔を一箇所にまとめていく。ブランが氷魔法で悪魔の動きを鈍らせ、ノエルが動きの鈍くなった悪魔を切り裂いていく。

 いつも通り倒していくが、一向に悪魔が減る気配がない。

「この量は尋常じゃない!死神が近くにいるかも!気を付けろよ」

 違和感を感じたアレンが大声で四人に呼びかける。刹那、黒い竜巻が発生してノエルとブランを飲み込んだ。

「ノエル!ブラン!」

 マイラが竜巻にはいろうとしたが電気がまとってあり、とても普通の人が入れる余裕はなさそうだった。

「とりあえず悪魔を退治しろ!」

ダグラスがマイラに呼びかける」

「わかった!」

 雷が轟く渦の中には全身黒につつまれた大男と、飲み込まれたノエルとブランがいた。少し強張った表情でノエルが口を開く

「あなたが死神……?」

「あぁ、そうだ」

 その答えを聞いてノエルが右手を剣に変え構えると

「ノエルちゃんちょっと待って、死神さん一体、何故このようなことをするのですか?」

「お前達神子を殺す……二人もいてラッキーだ」

 死神が雷撃を放つとノエルに命中した

「あっ……ぅ……はっ……」

「ノエルちゃん!」

ブランは死神の動きを封じようと水の塊を死神に当てようとするが、死神は大きな鎌で水の塊を裂いた。

「効かない……」

「諦めちゃ、ダメ」

 絶望しかけたブランにノエルは励ましの言葉をかける。ブランが氷魔法をマシンガンのように大量に撃っていく。死神がそれに気を取られた隙に、ノエルが大きく斬りかかり右腕に傷をつけることができたが死神が左手で炎を出し、氷を溶かし、電撃が込められた足で、ノエルの腹部を蹴り上げた。ノエルは声にならない痛みで倒れ込む。

「ノエルちゃん!!」

 ノエルは返事をする余裕もなく仰向けに倒れている。

「神になれるのは一人、ならお前もこの娘が死ぬことに安堵を覚えないか?」

「……そんなわけあるか!」

 嘘だ。何度か思ったことはあった。いつかはノエルと対峙しなきゃいけないことを。でもここ最近は忘れていた。考えたくなかった。ノエルはもう大事な仲間だから。だから否定をする。

 死神が電気をまとった足でノエルの腹部を思い入り踏みつける。

「ぐっ……何!?」

 ノエルを踏みつけた足に剣が貫通していた。ノエルが腹部を踏みつけられた瞬間、腹部を変形させ剣を生やしていたのだ。

「はぁ……せめて、一緒に……て……」

 ノエルは意識を手放しそのまま力が抜け、変化させていた体が元通りになる。死神は足を動かせないのか、動きがかなり鈍っている。今しかない、ブランはそう思って氷の塊をどんどん当てていく。死神は雷をまとった銃をブランに向け撃った。

カラン……

 杖が落ちブランには傷がつかなかった。

「随分と運がいいな」

 ブランが死神を睨むと竜巻に穴が開きもう1人の黒い死神がやってくる。

するとさっきまで余裕の表情だった死神が慌てふためく。

「モルス様!!一体何の用でございますか?」

モルスと呼ばれた死神がノエルとブランを一瞥し、死神に向き直る。

「この神子達は利用価値がある。しばらく手を出すな」

「今何と……?」

「手を出すな」

 モルスが凄い血相で怒鳴った。

「は、はい!かしこまりました!」

 モルスは竜巻の壁に消えていき死神も竜巻が消えると同時に消えていた。

 倒れていたノエルが落下していく。ブランは慌ててノエルを抱きとめると風に乗ったアレンとダグラスとマイラが寄ってくる。

「二人とも大丈夫か?!」

「僕は大丈夫だけど、ノエルちゃんが……」

「大丈夫、気を失ってるだけだ……」

 アレンがノエルを担ぎ宿に戻る。

 アレンとマイラとダグラスも軽く怪我をしていた。ブランが治癒魔法で四人分の怪我を治した。しかし、ノエルは眠ったままだった。

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