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Once upon a time in Another world  作者: ちょこみんと
二人の神子
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二人の神子1

 ノエル率いるグループ一行は、山の麓の街に着いた。途中で道に迷ってしまい、まもなく日が暮れようとしている。

 皆、口にはしないが疲れが表情に出ていて、それを見たアレンが数時間ぶりに口を開いた。

「長かったな……とりあえず宿取って今日は休もう」

「さんせ〜い、あたしおふろ入って寝たい……」

「ワフッ」

 マイラがアレンの提案に賛成し、狼の姿になって歩いているダグラスは何言ってるのか誰もわからなかったが多分同意だろうと皆考えた。

 宿に着くとダグラスとマイラが布団にぼふっと倒れこむ。

「疲れたー!疲れすぎて狼の姿にしかなれなかったもんなぁ……」

「マジでダグラスの犬語はわからん……」

 アレンが苦笑いしながら体の汗をタオルで拭き取っている。

「こんなふかふかなベッド始めて……枕もふかふか……」

 ノエルが感動をしているとブランがくすりと笑った。

「ふふ、ぼくもこんないいベッドはじめてだなぁ」

 そんな言葉を交わしながらノエルとブランも眠りについた。


 意識が混濁しながら徐々に覚醒して、ノエルは目が覚めた。隣にはマイラがぐっすり眠っている。起き上がるとアレンは居らず、ベッドも整えられていた。

 ノエルは巡礼用に用意された正装の服に袖を通し部屋を出ようと扉を開けると、部屋に入ろうとアレンが立っていてノエルはびっくりして驚いた。

「……消えたかと思った」

「朝の散歩してきただけだ。ダグラスと大道芸しやすい場を探してたんだ。俺の魔術で旅費稼がなきゃいけないしな」

「……へぇ……旅費集め手伝った方がいい?」

「いや、ノエルとブランには巡礼に集中してくれ。ノエルは巡礼の手順しっかり覚えてるか?」

「…….」

 自信がないのかノエルは俯く。

「教会に行って祈りを捧げて、神々と対立した悪魔や死神を倒すんだ。それが俺達の仕事だ!祈りを捧げることができるのは、お前達だけなんだからしっかりしろよー?」

 アレンがヘラヘラと笑っていたら眠っていた他の三人を起こしてしまった。

 三人は身支度を始め、三十分で支度を終えた。

「俺とダグラスが金稼ぎ、ノエルとブランは教会で巡礼、マイラは神子のボディガードとして頑張ってくれ」

 アレンがそういうと各々の向かう場所へ歩き始めた。

 ノエル達は教会に向かった。

 この巡礼の服重くて動きにくいから嫌いなんだけどな……なんて思っていたら普段から巡礼用の服を着ているブランは不便じゃないのか気になった。

「その服、動きづらくないの?」

「そうかな……頑丈だしそもそもぼくは接近戦ができないからね、ノエルちゃんみたいに動くことはないから特に不便は感じてないな……それよりマイラこそ寒くないの?」

マイラは自分に話題を振られると思わず一瞬びっくりした様子で

「ちょっと肌寒いけど動きやすさ重視かな……それにオシャレは我慢って言うしね!」

 マイラはくるっと回って笑う。

 しばらく歩いて教会が見えてきた辺りでブランは違和感を感じた、黒い雲が教会の上にだけあり、どこか冷たい空気がする。

「嫌な気配がする……」

「待って、何か見える……あれは……!?誰かが襲われてる!早くいかなきゃ」

 三人は急いで教会にむかった。

「うわ、悪魔がいっぱい……」

 教会に着くとたくさんの悪魔が人々を襲っていた。

 悪魔や死神は排除しないといけない。それがこの巡礼のルール。

「二人とも戦う準備はできてる?」

「うん」

「大丈夫!あたし、人を避難させるね!」

「ありがとうマイラ、じゃあノエルちゃん行くよ」

マイラは風の精霊を呼び出し人間を襲う悪魔を強風で引き離した。そして人々を教会の外に誘導している。

 ノエルは右手を鎌に変形させるとブランが

「ぼくが援護するからノエルちゃんは前に出て!」

「わかった」

 ブランの氷魔法で冷えきった悪魔の動きが鈍くなっていく。そして動きが鈍くなった悪魔をノエルが裂いていく。

 残る悪魔は一人教会の屋根の上に逃げる様に羽ばたいた。

「ノエルちゃん飛べる?」

 ブランが翼を生やしてノエルに問いかけた。

「うん、大丈夫」

 ノエルも翼を生やし、二人は教会屋根まで羽ばたいた。

 ブランが大きな水の塊を浮かせ悪魔の動きを止める

「今だよ!」

「はぁっ!!」

 ブランが声を張り上げて、ノエルが右腕を剣に変えて悪魔の心臓部を突き刺す。

 悪魔が黒い粒子となって消えた。

「これで……終わり……?」

「みたい、だね……」

 二人は息を切らしながら教会の入り口に足を付ける。

 襲われた人達を避難させてきたマイラが駆け寄ってくる。

「二人共大丈夫?」

「うん、なんとか……」

「あとは修復……かな?」

 ブランが詠唱を始めると破壊された場所が直っていく。

「これが神子様のお力……」

 神父がやってきて感嘆の声を漏らす。

「浄化終わりました。それで……祈りの儀をしてもいいですか?」

「えぇ、構いませんよ」

「ありがとうございます」

 ノエルとブランとマイラの3人は神父につられて教会の中に入る。

「あたし、ここで待ってるね」

 マイラが入り口の方の椅子に座る。

 神父とノエルとブランの2人は教会の奥で祈り始める。

「我、祈りの儀を神に捧げる」

 二人は口を揃えて言った。

 祈りを捧げ終わると教会の入り口にいたマイラと合流する。

 ひと段落して、神父が口を開く

「本当に助かりました。神子様方には心からの感謝を……貴方達の巡礼の旅が無事成功しますよう、神に祈っております」

「ありがとうございます、それでは失礼します」

 三人は頭を下げて宿に戻る。

 部屋の扉を開けたらアレンとダグラスが座っていた。

「おかえり、随分と時間がかかったようだったけど何かあった?」

 アレンが心配そうに近寄ってくる。

 ブランが悪魔に出会ったことを説明する。

「それは大変だったなぁ、もうすぐ夕飯の時間だしそれまでゆっくり休むといい」

 五人は椅子に腰掛けアレンの淹れた紅茶を飲みながら今日の稼ぎはどうだったとかそんな他愛もない話を始めた。

 ノエルの首から下げたネックレスの石が少しだけ濁ったことに気づくことはなかった。

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