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3/8

キャラメイクします

「……よし、これで準備完了っと」


 翌日、上司の恨み言を呟きながら出勤する奥さんを見送り。今日は金曜、今日明日頑張ればお休みだ。

 掃除と洗濯を済ませ、軽い昼食を食べながら思念デバイスを操作して昨日奥さんがF.W.Oで必要な事を纏めていく。コレとは長い付き合いだし作業しながらの操作はもう癖に近い。

もう運転以外は殆ど『ながら操作』で生活している。

 昼食を食べ終えて後片付けして、自室に向かう。ゲーム用デバイスは昨日の夜に奥さんと共にパソコンに接続済み。IDも登録して後は装着して起動するだけ……


「あと10分か……」


 時刻を見るとサービス開始の13時まで後僅かだった。

 長時間座っても疲れないゲーミングチェアに座り、早速思念デバイスを外してゲーム用デバイス装着する。すると自動的に電源が入るのでそのまま『F.W.O』を起動させる。


【同期出来る周辺機器を見つけました同期しますか?(Y/N)】


 当然YESで。

その後、出身、生年月日、料金プランの加入等の通知を選択してパーセンテージが進み100パーセントになった。


 ──Welcome to Far World!!──


 目の前に現れた文字と共に視界が暗転し全身の感覚が無くなる浮遊感に包まれる。






『──ようこそ、新たな異邦人様』


 頭の中から響く声に視界が開ける。目の前に瞬く大きなステンドグラスが光を透かしていた。

 次に周囲を確認する。広さは10人位入れるほどのドーム状の建物。内装は白を基調とし暗い金色で強調され、足元の絨毯やカーテンは鮮やかな赤。

 何よりも目を引くのは周囲に並んでいる様々な白い石像、その数20体。

 まるで神殿のような荘厳(そうごん)な雰囲気の部屋に立っていた……いや、()()()()()()()ので立っているというのは違うか……


『遠路はるばるこの世界に来ていただき感謝の極み──』


 部屋を見回していると再び頭の中から響く声。それと同時に突然目の前に人が現れた。

 三原色で出来たモザイク調の派手な燕尾服と帽子、左手には杖を持った美丈夫な男だった。


『旅路の案内は私──ジェスターが勤めさせて頂きます』


 男……ジェスターは右足を引き、帽子を右手で取り胸に当て、杖を持つ左手は横方向へ水平に差し出し粛々とお辞儀をする。確かボウアンドスクレイプと言う作法だったな……

 どうやらジェスターはチュートリアルのAIの様だ。

 

『貴方は偶然、奇跡、もしくは神の導きによりこの地に立つ事を選んだ異邦の者。まずは少しの間ですが私の質問にお答え頂きたいのです。これはとても重要です、何せ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


【あなたの名前を入力してください〈    〉】


 目の前に突然現れる画面、つまり今からキャラメイクしろと。

 何かいきなりゲームらしくなったので少し驚いた……

 名前……そのままはダメだし、よしここは無難に──


【あなたの名前を入力してください〈 シオ(Shio) 〉】


 旧姓と名前からにした。


『なるほど……ではお次はこの地を歩む肉体を教えてください』


 パチンとジェスターが指をスナップさせると、目の前に豪華な額縁の姿見が現れて、現実の自分が見た事もない服を着て写し出された。

 思わず引いたが姿見の自分は一切身動ぎをしてない。つまりこれでアバターを設定しろと。

 姿見の周囲に体の大きさ、パーツ、色彩等を調整するメニューが現れる。料金加入で装着できるパーツが2つから5つまで追加できるのでかなり自由に出来る。さて……




 調整に格闘する事数十分、何とか納得のいく形になった……

 種族は『人族』『獣人族』『エルフ族』『ドワーフ族』とあるが無難に『人族』を選択。

 体は弄らず身長を少し縮めて170センチ丁度に。身長の伸縮はプラマイ10センチだから誤差だけど。

 髪型も少し伸ばしボブカット、前髪も目を隠す位に伸ばす……うん、もう癖だ。隠れているけど瞳は薄紫に。

 髪色はベースを黒に前髪の一束と内側を薄紫のメッシュにしてオマケにアホ毛を追加。このアホ毛パーツは特殊で脳波を感じ取り、アニメの様に動かしたり出来る。これは獣人族の耳と尻尾も同じ原理で動かせる。追加パーツは、メッシュ(一部)、メッシュ(後)、アホ毛の3つだ。

 ただ髪型と色を変えるだけでこうも変わるとは……再度見回して確定っと。

 決定すると姿見が光の粒子となって消えると、今まであった浮遊感が消えて地面を踏みしめる足の感覚が戻ってきた。つまりこれでアバターを動かせるのか。


『いかがでしょう?』


 ジェスターの言葉に手を目の前に持っていき開いたり握ったりする……問題は無し。不思議な事に前髪で隠しているのに、今の視界は髪で隠れていない。


「大丈夫」

『分かりました──では今度はあなたの力を教えてください』


 すると今度はゲームのメニュー画面が現れた。



===============


Name シオ


Lv:1


STR:0


VIT:0


INT:0


AGI:0


DEX:0


MND:0


LUK:0


FP:120


===============



 『力』ってステータスか……一番下の数字は恐らくこのポイントを振り分けろと言う事か。確か奥さんの話によると一点特化の極振りって言うのは出来ないらしい。理由は何となく分かる。

 とりあえず全部に10振り分けて後は今後のプレイスタイルに合わせて……STR、DEX、AGI、INTの順に振り分けよう。



===============


Name シオ


Lv:1


STR:30


VIT:10


INT:15


AGI:20


DEX:25


MND:10


LUK:10


FP:0


===============



 まずは筋力(STR)がないと始まらないし、器用(DEX)も同様。

 敏捷(AGI)は少ない防御(VIT)のフォロー、知力(INT)は魔法を使うために残りを突っ込んだ。これでよしっと……


『分かりました……では、今度はあなたの生き方を教えてください』



===============


スキル(0/10)



控え


SP:50


===============



 今度はスキルか……隣のメニュー画面から様々に分類された、初期段階で取得出来るスキルが載っている。武器や生産等のスキルは5ポイント、魔法系は2~3ポイント、補助系は1~3ポイントと言う具合か……そういえば奥さんのメモに必須スキル項目があったな。これを参照にして……



===============


スキル(4/10)


《体術Lv1》《料理LV1》《魔法適正:Lv1》《採集Lv1》


控え


SP:37


===============



 奥さんのメモによれば。《魔法適正:Lv1》は必須。そして生産をするなら《採集Lv1》は欠かせない。武器系と生産系は後でも覚えられるので他は自分の好きな様にと言う事で《体術Lv1》と《料理Lv1》を、前者は内容を見たところ、動きを補正するものなので即決した、後者は完全に趣味……必須スキルの項目にあったけどゲーム内でも食う気かあいつ。

 とりあえずこれでスキルも決定っと。


『ありがとうございます。これであなたの事を知る事が出来ました。これがこの地降り立つあなたです』



===============


Name シオ


Lv:1


HP:120/120


MP:120/120


STR:30


VIT:10


INT:15


AGI:20


DEX:25


MED:10


LUK:10


FP:0


武器 ──


頭  ──


外着 ──


内着 冒険者の服


腕部 ──


胴体 冒険者の服(上)


腰部 冒険者の服(下)


足部 冒険者の靴


アクセサリー(0/10枠)



スキル(4/10)


《体術Lv1》《料理Lv1》《魔法適正:Lv1》《採集Lv1》


控え


SP:37


===============



 設定したステータスに装備品が追加された。

 ようやくキャラメイクが終わった。


『只今をもちまして、あなたをある街に転移させます。その街の名はアクエと呼ばれます。それでは、よき旅を──』


 ジェスターが再び粛々とお辞儀するのを最後に目の前が光に覆われる──






 光が収まると目の前に広がったのは、石畳で舗装され地面、石造りの建物、中世ヨーロッパ風のファンタジーのド定番な街並み。

 様々な種族が行き交う人々と喧噪。そして自分が今いる位置。多くのプレイヤー、NPC問わず集まっている、後ろを振り返ると大きな噴水が建っており、目の前には謎の模様が彫られた石碑がある、どうやらここは広場の様だ。

 現在地を確認していると目の前にメニュー画面がポップアップした、そこにはただ一文だけ──


【第一の街『アクエ』に転移しました】


 この通知をみてようやくゲームが始まったと、少し感動した……

 さて、キャラ作成の片手間に見てた、奥さんのメモを読み込むか。

石碑の模様はF.W.O世界での文字です。

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