13
イ-サン様に案内されたのは王宮内の図書だった。
街にも図書館はあるけど、借りるためというより、昔の本を中心に保存してあるらしい。らしいというのは、私たち庶民は図書館に入らせてもらえないからだ。
ランドルフ様が代わりにいろいろと本を貸してくれたけど、頼んでもいないのに国の歴史だったり、哲学を読むように渡されたこともあったけ。読まずに返そうかとも思ったけど、ちゃんと読んでるか問題出してくるからちゃんと読まないとダメだったんだよね。
「こちらです」
イ-サン様のあとをついて歩くこと5分くらいで、ようやく図書館にたどり着く。ジゼルさんは部屋を掃除してくれると言っていた。
扉が開けられると、すぐ近くにカウンターがあり、高齢の男性が深々と頭を下げる。つられて私も頭を下げた。
中は街の図書館よりもうんと広く、入ってすぐにらせん階段が目に入る。どうやら図書室は2階にもあるようで、らせん階段を少し見上げると、2階にも本棚が見えた。
いろいろと散策して、ハ-ブの育て方の本を見つけた。飲み方も載っているみたい。
窓際の近くにあった机で読み始めると、部屋にも持ち込めますよとイ-サン様が教えてくれた。
「いえ、少し読んでいきます」
ジゼルさんも掃除すると言っていたし、また、オースティン王子が来ても困るし。
トントントン。
窓から音がして目をやると、オースティン王子がニッコリと笑っていた。
どうしよう!
なるべく、関わりたくないのに!